リスクをテーマとするブログを書いて5年が経ちました~1年間の実績を振り返る7~

blog-7 ブログ

要約

2024年4月から2025年3月までの1年間のブログの実績を振り返ってみました。アクセス数や人気記事、検索エンジンからの評価、記事評価ボタンによる評価などをまとめました。

本文:ブログ5年経過、最近の1年の実績

2020年4月にブログを開始して5年が経過しました。定期的にアクセス解析を見ながら振り返りをしているので、今回は7回目となるブログの運用について振り返る記事を書きたいと思います。以前の振り返り記事はコチラです。

ブログ
「ブログ」の記事一覧です。

2020年度は週2回、2021年度からは週1の更新となり、2024年度は40記事をアップしました。開始5年間で合計では282記事になっています。

この1年のリスクに関するトピックを思い返しましたが大きな事故・事件はあまりなかったように思います。化学物質ではPFASが引き続き大きなトピックとなり、南海トラフ地震の臨時情報が出され、トランプ大統領就任により反ワクチンなどのニセ科学の広まりが危惧されました。

以下では、データ分析の中心であるGoogle Analyticsの結果、アクセス上位の記事の紹介、検索エンジンからの評価、個別記事の評価の順で書いていきます。

Google Analyticsから見る本ブログの1年の実績

Google Analyticsでアクセス解析を行っています。2023年7月からはGA4に切り替えました。ユーザー数とページビューの推移は以下の通りで、2023年度のユニークユーザー数は21363人、ページビューは38864でした。開設後の累積ページビューは223822まで増えました。目指す100万アクセスまでの道のりはまだまだ遠いです。

blog_access

2024年度でアクセスが大きく減った理由は、Xをやめたことが大きいと思われます。以前は記事を書くたびにTwitterにリンクを貼って紹介していたのですが、Xがあまりに荒れ果てているので足が遠のいてしまいました。

デバイス別に見ていくと、PCから見ている人が51%、モバイルが47%、タブレット端末が2%という割合で、2023年度と比べるとPCからのユーザーが増えました。Xでリンクを貼るのをやめたことも関連していそうです。

次にアクセス元を見てみましょう。検索経由が64%、次いでダイレクト(ブックマークなど)が18%、SNS経由が15%でした。

blog_link

ここからは、この1年間のページごとのアクセス数から人気記事を見ていきます。

1位は日本の各種犯罪の被害者と加害者それぞれの男女差をデータで示し、さらに「夜間に1人で歩く際に安全だと感じる比率の男女差」の国際比較も示した記事です。2022年度、2023年度に引き続いて3年連続でアクセス数トップとなりました。

犯罪リスクの男女差:日本はフェミサイド大国なのか?
日本は男女差別の面で遅れており、犯罪に関してもフェミサイド(性別が女性であることを理由に男性に殺されること)大国などと一部で呼ばれています。性犯罪以外の犯罪については被害者の男女割合は同程度が男性のほうが多くなっていました。ただし、安心感の男女差は諸外国と比較して大きくなっています。

2位は東京オリンピックにトランスジェンダー選手が女性として出場するためのルールである「テストステロン10nM」の根拠について書いた記事です。2024年はパリオリンピックがあったため再び注目を集めました。ちなみにパリオリンピックでのトランスジェンダー選手の出場は東京よりもかなり厳しく制限されることとなりました。

オリンピックにおける性別確認:テストステロン10nMの基準値のからくり
今回は夏休みのため、通常のブログ記事の更新はお休みします。その代わりに、現在東京オリンピックの最中ということでもあるので、オリンピックにおけるトランスジェンダーを含む女子選手としての出場の基準値(テストステロン濃度10nM)の根拠について書いてみます。これも一種の線引き問題です。

3位は2023年から成年年齢が18歳に引き下げられましたがその際になぜ「お酒は18歳から」にならなかったのかを書いた記事です。この記事は3年連続で3位となりました。パリオリンピックの直前に19歳の選手による飲酒・喫煙が発覚後して代表を辞退したことがニュースとなり、この線引き問題は継続して注目されています。

成年年齢の18歳引き下げにともない、なぜ「お酒は18歳から」にならなかったのか?
飲酒開始年齢の根拠はアルコールの有害性などの科学的根拠ではなく「20歳以上は成年であるから」であったため、成年年齢が18歳に引き下げられると自動的に「お酒は18歳からOK」になるはずです。ところが飲酒開始年齢の引き下げに動いた自民党に対して日本医師会が撤回要求をしたため先送りになったようです。

4位はPFASに関するシリーズ記事の一つです。PFASはどのような製品にどのような目的で使われているのか、PFASがなくなると我々の生活はどう変わるかについて解説しました。PFASの使用禁止によって使用エネルギーは増大し(温暖化対策は後退し)、モノ全体の寿命は縮み、安全性が損なわれます。

有機フッ素化合物PFASのリスクその3:PFASがなくなると我々の生活はどう変わるか?
PFAS問題の解説その3として、PFASがなくなると我々の生活はどう変わるかについてまとめます。PFAS使用禁止によって使用エネルギーは増大し(温暖化対策は後退し)、モノ全体の寿命は縮み、安全性が損なわれます。また、PFAS代替物質のリスクがPFASのリスクを上回るリスクトレードオフも懸念されます。

5位は大麻のリスクについて書いた記事です。芸能人が薬物で逮捕されるなどの事件があるたびにアクセスが増えています。

大麻は酒やたばこよりも安全か?リスク比較によって検証する
大麻の死亡リスクを推定したところ「10万人あたりの年間死者数1人」となり、酒「同15.9人」やたばこ「同59.9人」と比較してかなり低いものでしたが、絶対値として無視できるほど低いというわけでもありませんでした。死亡に至らない精神疾患なども考慮したDALYで比較しても、酒やたばことのリスクの差が埋まりませんでした。

以下、6位から10位まで順にリンクを並べます。

多くの人が間違って使っている言葉「予防原則」について改めて解説します
あまり理解せずに使っている例が多い「予防原則」という考え方についてまとめます。「予防原則」と「予防的アプローチ」と「未然防止」の違いについて、弱いバージョンと強いバージョンの違いについて、リスクトレードオフには対応できないこと、について解説していきます。
シロアリ防除剤としてのネオニコチノイド系殺虫剤のリスク
シロアリ防除剤としてのネオニコチノイド系殺虫剤の使用時のリスクについてまとめました。まずシロアリ防除剤のリスク管理について整理し、次に論文の情報からネオニコチノイド系殺虫剤のリスク評価を行い、最後にシロアリ防除剤のリスク比較事例を示します。
珪藻土に混入したアスベストは危険なのか?その2:リスクを計算して比較する
珪藻土バスマット中のアスベストは危険なのかどうかを判断するために発がんリスクを評価しました。ヤスリで削ったり割ってしまった場合でも、もともと存在する自然由来のアスベストの吸入量と比べて二桁以上低くなり、発がんリスクも懸念レベルにないと判断されました。
安全と安心の違い再考~同じようで違っていて、違うようで同じである~
「安全」と「安心」はセットで使われることが多いのですが、「安全と安心は違う!安全は科学的、安心は心理的なもの」という安全安心二分論も頻繁に見かけます。ただし実際には「安全」の中にも心理的な要素は含まれており、同じようで違っていて違うようで同じ概念と整理できます。
マイクロプラスチック汚染の本命はタイヤ摩耗塵?~新たなハザード6-PPDキノンとの関係~
マイクロプラスチックの排出源としてのタイヤの重要性を示し、タイヤ摩耗塵の健康・環境影響について整理し、新たなハザードとしての6-PPDキノンについてまとめます。6-PPDキノンはサケに対する影響が強いことから今後要注目です。

内容的には、やはり化学物質系の記事が多くなっていますね。また、上位10記事のうちこの1年に書いた記事は一つもありませんでした。検索エンジンに認知されて検索流入が増えるまでに時間がかかるので、古い記事のほうがアクセスが多い傾向にあります。

本ブログの検索エンジンからの評価

この1年に書いた記事のキーワードを用いてGoogleとBingで実際に何位に出てくるのかを50位まで調べてみました(広告を除いた順位):
・「PFOS PFOA リスク」はGoogleでは50位以下、Bingでは19位、23位、25位、47位
・「PFAS リスク」はGoogleでは50位以下、Bingでも50位以下
・「バイオスティミュラント リスク」はGoogleでは9位、Bingでは1位と3位!
・「ニセ情報 対策」はGoogleでは39位、Bingでは5位と49位
・「コウモリ 農薬 乳児」はGoogleでは1位!、Bingでも1位!
・「南海トラフ 臨時情報 1週間」はGoogleでは50位以下、Bingでは3位!
・「カプサイシン リスク」はGoogleでは43位、Bingでは8位

2022年度の解析ではGoogleとBingはほぼ同様の評価(表示順位)でしたが、2023年度からは全体的にBingのほうが表示順位が上で、Google先生からの評価が下がってしまったのです。そしてこの傾向は2024年度も引き続き同様でした。

個別記事の評価

個別記事の評価ツールについては、記事に対して「いいね」をつける機能「WP-PostRatings」を実装しています。この1年間でいいねがついた数は306、2023年度のいいね数は398でしたので若干減りました。

そして、2024年度書いた記事の中でいいねがもっとも多くついた記事トップ3は以下です。

1位はPFOS・PFOAの2物質に限定した問題と、10000種類以上もあるPFAS全体の問題がニュースなどでごっちゃにされている現状を整理した記事です。

PFOS・PFOA問題とPFAS問題は全く違うがちゃんと区別されていない
「PFAS」がタイトルに入ったニュースが多数報道されていますが、そのほとんどはPFOS・PFOAの2物質に限定した内容であり、10000種類以上もあるPFAS全体の問題ではありません。PFOS・PFOA問題とPFAS全体の問題とはまったく別の問題であり、これらをごっちゃにすることで別の問題も発生します。

2位は農薬とも肥料とも異なるカテゴリの農業資材であるバイオスティミュラントのリスクについて解説した記事です。

バイオスティミュラントで農薬削減?その2~バイオスティミュラントのリスクは?~
農薬とも肥料とも異なるカテゴリの農業資材であるバイオスティミュラントについて解説する記事のその2です。バイオスティミュラントのリスクとして、バイオスティミュラントを名乗って農薬まがいの資材が出てくる可能性について、過去の農薬取締法改正の歴史を踏まえながら解説します。

3位はSNSで見られる、理想的な生物多様性保全を求める人たちと、現場での実行可能性を重視する農業者とのすれ違いについてまとめた記事です。

どうして生物屋と農業者のすれ違いは繰り返されるのか?
生物屋は理想的な保全の姿を農業者に求め、農業者は現場での実行可能性を重視するというすれ違いがSNSなどで繰り返し目立ちます。どうしてすれ違いが繰り返されるのかについて、保全目標の重要性や専門家の活用の可能性の観点などからまとめます。

また、もっとも評価率(いいね数/アクセス数)が高かった記事トップ3は以下です。

1位は1995年(阪神淡路大震災)と2011年(東日本大震災)における震災による死亡リスクを算出し、年代別・男女別に示して比較してみた記事です。

震災における死亡リスクの男女差は差別構造なのか?
とあるニュースが震災による死者数の男女差を問題視しています。そこで、人口動態調査のデータを用いて1995年(阪神淡路大震災)と2011年(東日本大震災)における震災による死亡リスクを算出し、年代別・男女別に示して比較してみました。

2位は日産化学(除草剤ラウンドアップ)とMeiji Seikaファルマ(レプリコンワクチン)を対象に、法的措置によるネット上のニセ情報の拡散防止効果を検証した記事です。

法的措置によるニセ情報(デマ・フェイクニュース)の拡散防止効果を検証します
法的措置によるネット上のニセ情報の拡散防止効果を検証するために、日産化学(除草剤ラウンドアップ)とMeiji Seikaファルマ(レプリコンワクチン)による法的措置の前後におけるネット上のトレンドの変化を、Google trendsとYHAOO知恵袋を用いて調べました。

3位はSNSにてインプレッション狙いでわざと怒りのエサをばらまく行為(レイジベイティング)や怒りの感情がデマ拡散に与える影響を調べた研究成果について解説した記事です。

人生を怒りに搾取されるな!SNSでのニセ情報(デマ・フェイクニュース)拡散とレイジベイティング
SNS時代になり拡散しやすい情報は不安・恐怖から怒りに変化し、リスクコミュニケーションもその変化に対応する必要があります。インプレッション狙いでわざと怒りのエサをばらまく行為(レイジベイティング)や怒りの感情がデマ拡散に与える影響を調べた研究成果について解説します。

ブログの今後の運用

ブログの運用としてはこれまで基本的に週1回の更新ペースを維持してきましたが、2025年度からは2週に1回のペースに落とそうと考えています。その理由はもう一つ別のブログを立ち上げる予定があるからです。そのうち公開できるでしょう。

リスクのものさしを表示するwebアプリケーション「RiskTools(ブログのヘッダメニューかにリンクがあります)」を公開していますが、この1年で機能を追加して更新することができました。今年もまた機能を追加していきたいと思います。

まとめ:ブログ5年経過、最近の1年の実績

年間のページビューは約4万、累積ページビューは22万まで増えました。人気がある記事はほぼ変化しておらず、全体的には化学物質関係の記事が人気です。また、アクセス数やGoogle先生からの評価は低下傾向にあります。

コメント

タイトルとURLをコピーしました