リスクマネジメント

どうして生物屋と農業者のすれ違いは繰り返されるのか?

生物屋は理想的な保全の姿を農業者に求め、農業者は現場での実行可能性を重視するというすれ違いがSNSなどで繰り返し目立ちます。どうしてすれ違いが繰り返されるのかについて、保全目標の重要性や専門家の活用の可能性の観点などからまとめます。
ブログ

リスクをテーマとするブログを書いて4年が経ちました―年間の実績を振り返る6―

2023年4月から2024年3月までの1年間のブログの実績を振り返ってみました。アクセス数や人気記事、記事評価ボタンによる評価などをまとめました。ただしこの間にGoogle Analyticsの仕様が大きく変わり、これまでのようなデータを取得するのが難しくなりました。
化学物質

天然物による健康影響は原因特定が難しい:謎の腎臓病を引き起こした物質の事例

小林製薬が製造した紅麹サプリメントによる腎臓疾患が報告されましたが、天然物による健康影響は原因物質の特定が非常に困難です。腎臓病を引き起こした類似の事例として、ヨーロッパのバルカン地方で発生した謎の腎臓病の原因物質を特定するに至るまでの興味深い出来事を紹介します。
リスクガバナンス

制度は立派な欧州とリスクは低いニッポンその2:農薬編

農林水産省の補助金を受ける場合に環境負荷低減の取組が義務化されます(クロスコンプライアンス制度)。欧州では2005年から義務化されており日本は制度的に遅れています。一方で実際のリスクの比較として残留農薬基準の超過率を日欧で比べてみると興味深い関係が明らかになります。
化学物質

有機フッ素化合物PFOS・PFOAの発がんリスクの大きさはどれくらいか?

IARC(国際がん研究機関)はPFOSを「発がん性がある可能性がある」、PFOAを「発がん性がある」に分類しましたが、日本の食品安全委員会は証拠は不十分としています。仮に発がん性がある(+遺伝毒性あり)とみなした場合の発がんリスクを計算した結果を紹介します。
基準値問題

飲酒(アルコール)のリスクその3:飲酒ガイドライン正式版への反応

飲酒ガイドラインの正式版が公表され、業界への配慮と飲酒量を減らそうというメッセージの両立を目指す修正がなされました。ガイドラインの案と正式版の違いを紹介し、ガイドラインに関連するX(旧ツイッター)のリプライを解析し、どのような反応(特に誤解)が生じているのかをまとめます。
身近なリスク

性犯罪の再犯リスク:日本版DBSによって教育現場での性犯罪リスクはどれくらい下がるのか?

性犯罪歴のある人を教育現場から排除するための日本版DBSの検討が進んでいますが、これは性犯罪者は再犯することを前提としたシステムです。性犯罪の再犯率について実際のデータを整理し、それと一般の人がイメージしている性犯罪の再犯率が大きく異なっていることを示します。
基準値問題

欧州における水道水中農薬基準(0.1μg/L)は健康リスクと無関係

水道水から農薬が検出された場合に、欧州における水道水中農薬基準0.1μg/Lと比較されることがありますが、この基準は健康リスクと無関係です。実際には健康影響の目安となる別の基準が設定されており、そちらのほうと比較するべきでしょう。これらの基準値のからくりについて解説します。
リスクガバナンス

農薬の規制強化と有機農業の推進から考える規制行政と推進行政の違い

農薬の規制と有機農業の推進はセットで語られることが多いのですが、この二つは似ているように見えてまったく違います。規制は経済への介入となるため慎重さ・科学的根拠・国際調和が求められ、推進はそれよりもお気持ちが通りやすく暴走しやすいという特徴があります。
身近なリスク

リスク教育に期待がかかるが教育にもリスクがある

リスク教育はリスクを学ぶための強力な手法ではありますが、間違った方向に進むという教育リスクもあるため、学校でのリスク教育にはあまり期待しすぎないほうがよさそうです。教育リスクの特徴は「教育は善いことなのでリスクはつきもの」という考え方からリスクを軽視することにあります。