化学物質

有機フッ素化合物PFOS・PFOAの発がんリスクの大きさはどれくらいか?

IARC(国際がん研究機関)はPFOSを「発がん性がある可能性がある」、PFOAを「発がん性がある」に分類しましたが、日本の食品安全委員会は証拠は不十分としています。仮に発がん性がある(+遺伝毒性あり)とみなした場合の発がんリスクを計算した結果を紹介します。
基準値問題

飲酒(アルコール)のリスクその3:飲酒ガイドライン正式版への反応

飲酒ガイドラインの正式版が公表され、業界への配慮と飲酒量を減らそうというメッセージの両立を目指す修正がなされました。ガイドラインの案と正式版の違いを紹介し、ガイドラインに関連するX(旧ツイッター)のリプライを解析し、どのような反応(特に誤解)が生じているのかをまとめます。
身近なリスク

性犯罪の再犯リスク:日本版DBSによって教育現場での性犯罪リスクはどれくらい下がるのか?

性犯罪歴のある人を教育現場から排除するための日本版DBSの検討が進んでいますが、これは性犯罪者は再犯することを前提としたシステムです。性犯罪の再犯率について実際のデータを整理し、それと一般の人がイメージしている性犯罪の再犯率が大きく異なっていることを示します。
基準値問題

欧州における水道水中農薬基準(0.1μg/L)は健康リスクと無関係

水道水から農薬が検出された場合に、欧州における水道水中農薬基準0.1μg/Lと比較されることがありますが、この基準は健康リスクと無関係です。実際には健康影響の目安となる別の基準が設定されており、そちらのほうと比較するべきでしょう。これらの基準値のからくりについて解説します。
リスクガバナンス

農薬の規制強化と有機農業の推進から考える規制行政と推進行政の違い

農薬の規制と有機農業の推進はセットで語られることが多いのですが、この二つは似ているように見えてまったく違います。規制は経済への介入となるため慎重さ・科学的根拠・国際調和が求められ、推進はそれよりもお気持ちが通りやすく暴走しやすいという特徴があります。
身近なリスク

リスク教育に期待がかかるが教育にもリスクがある

リスク教育はリスクを学ぶための強力な手法ではありますが、間違った方向に進むという教育リスクもあるため、学校でのリスク教育にはあまり期待しすぎないほうがよさそうです。教育リスクの特徴は「教育は善いことなのでリスクはつきもの」という考え方からリスクを軽視することにあります。
身近なリスク

冬のリスクその4:暑さと寒さはどっちがキケン?

能登半島地震により真冬の避難生活が続いていますが、寒い室内での生活には高い死亡リスクがあります。ただし、夏の熱中症ほどには冬の寒さのリスクはあまりニュースになりません。本記事では熱中症と低体温症のリスクを比較したり、心筋梗塞などの寒さによる間接的な死亡リスクの大きさを整理します。
基準値問題

飲酒(アルコール)のリスクその2:アルコール摂取量と死亡率の関係

飲酒ガイドラインの目安量(男性40g/日、女性20g/日)と比較して日本人の飲酒量はどれくらいか?、アルコール摂取量と死亡率に関するJ型カーブの謎(なぜまったく飲まない人よりも多少飲む人のほうが死亡率が低くなるのか)、お酒の種類や休肝日の影響について調べた結果、をそれぞれまとめました。
その他

新年のご挨拶と2023年のリスクの振り返り

今週は年末年始のためいつものブログ記事の更新はお休みです。かわりに過去記事を見ながら2023年を振り返ってみたいと思います。
基準値問題

飲酒(アルコール)のリスクその1:飲酒ガイドラインの男性40g/日・女性20g/日の根拠は謎だらけ

生活習慣病のリスクを高める飲酒量として男性40g/日・女性20g/日という数字を示した飲酒ガイドラインの内容を紹介(実際には飲酒量の基準を示したものではない!)し、男性40g/日・女性20g/日はどこから出てきた数字なのかの謎を解き明かします。