2021年2月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果24~

twitter SNS定点観測

要約

リスクコミュニケーションに関するツイート・ニュースを解析しています。2021年2月はコロナウイルスへの感染やワクチンに関するリスコミの話題は依然として高い注目を集めています。それに加えて、東日本大震災から10年を節目を迎え、原発事故や放射性物資のリスコミについての話題も多くなりました。

本文:2021年2月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、ツイッター上で「リスクコミュニケーション」、もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集して解析しています。これまでのsns定点観測結果はこちらにあります。

SNS定点観測
「SNS定点観測」の記事一覧です。

本記事では2021年2月のツイートを解析した結果を報告します。発言数の推移と使用頻度の高い単語、「いいね」数トップ10ツイート、ニュース・ブログ記事の順で見ていきましょう。

リスクコミュニケーションに関するツイート数の経時変化とツイート内の単語の使用頻度

まずは2021年2月分を含めたツイート数の変化を下図に示します。

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新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、4月に3000件を超えてピークに達しましたが、その後は減少傾向を続け、11月からコロナ第3波とともに増加に転じています。2月も1月よりは若干下がりましたが高い水準にあります。

次に、使用頻度の高い単語トップ50単語(リスク、コミュニケーション、リスコミの3つを除いています)をワードクラウドにまとめてみました。

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トップは「科学」でした。意外にも科学がトップになるのは初めてのことです。朝日新聞の記者による「科学を振りかざしそれが真実と言われても」というツイートとそれを擁護する先輩記者(xibenxiuというツイッターのアカウント名もランクインしています)が炎上したことが原因でしょうか?

また、「ワクチン」が3位と再浮上し、注目が高まっています。さらに、「風評被害」が4位になり、これも意外と今まであまり見ない単語でした。東日本大震災から10年という節目で、改めてこの問題が提起された結果となっています。風評被害を煽ったメディアへの批判が多くなっています。

個人名では、以下のニュースにからんで吉川肇子さんの名前が入っていますね。木下冨雄さんとともに日本のリスクコミュニケーションにおいて一番初期の頃から取り組んでこられた方です。私も最初は吉川さんの以下の本を読んでリスクコミュニケーションという言葉を知りました。もう20年くらい前ですが、当時「これだっ!」と思ったことは確かですね。

ビデオニュース・ドットコム:コロナを克服するためにはリスク・コミュニケーションの建て直しが急務だ/吉川肇子氏(慶應義塾大学商学部教授)

コロナを克服するためにはリスク・コミュニケーションの建て直しが急務だ/吉川肇子氏(慶應義塾大学商学部教授)(ビデオニュース・ドットコム) - Yahoo!ニュース
(↑画像をクリックすると動画が再生されます。)  新型コロナウイルス対策では、政府や地方自治体の情報提供がうまくいっているとはとても言えない状況にある。ビデオニュースでは去年3月の時点で、リスク・

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リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容

「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業でつけました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

2021年2月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。先月はトップ10全てがコロナウイルス関係でしたが、今月はトップ10のうち6つがコロナウイルス関係でした。他4つは原発事故関係と、やはり東日本大震災後10年の節目を反映しています。

順位トピック要約
1コロナ中国の春節の時期になるので、水際対策が必要
2コロナ河野大臣のワクチン副反応についての動画は素晴らしいリスコミ
3コロナ与党議員の銀座クラブ通いは、行動変容に理解を求める姿勢に欠けている
4原発事故リスコミでは他のリスクとの相対化が必要。放射性物資のリスクも他のリスクより顕著に低ければ問題なし
5コロナ尾身氏が若者の気の緩みを指摘したことは、「気に食わない対象を排除したい」という気持ちでは。
6コロナ総理が緊急事態宣言の解除にあたり記者会見しないのはリスコミとしてまずい
7原発事故安心が足りないとかいう前にリスコミを頑張るのが新聞記者の仕事では?
8原発事故原発事故のときに自民党政権だったらリスコミは一切なしだっただろう
9原発事故リスコミをせずに風評被害を煽り続けて来たのは朝日新聞ではないか
10コロナ政府によるワクチン副反応疑いの中途半端な報告ツイートはリスコミとして不適切

2位と10位はコロナワクチンの関係です。今のところワクチンのリスクに関しては順調ではありますが、接種の人が伸び悩んでますね。

7位と9位が朝日新聞記者の炎上がらみです。

ニュースとブログ記事

NwesAPIを用いたニュースとブログの分析も行っています。方法については以前の記事を参照ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2021年2月の「リスクコミュニケーション」を含むニュース・ブログ記事は9件と、平均5件前後で続いてきたのに比べると多いです。内容を見ると、コロナ関係が3件、原発事故関連が4件ありました。以下に記事のタイトルを表にして示します。

タイトルソース
スガノミクス・緊急事態の解除後に向けてGoo.ne.jp
消費者庁・風評被害の実態調査 福島敬遠 過去最少にLivedoor.com
若手記者が記した、「科学を振りかざしてこれが真実だと言われても」というツイートは言葉足らずな表現だが、風評被害やリスクコミュニケーションの課題を指摘する趣旨だ。私は問題ないと思うTogetter.com
食品に関するリスクコミュニケーション「共に考える 食品中の放射性物質」を開催しますMhlw.go.jp
令和2年度職場における化学物質管理に関するリスクコミュニケーション(意見交換会)(第1回)議事録Mhlw.go.jp
西本秀 on Twitter: “若手記者が記した、「科学を振りかざしてこれが真実だと言われても」というツイートが批判されている。言葉足らずな表現だったかもしれないが、科学が説明する安全と、人々が受け止める安心のギャップをどう埋めるか、風評被害やリスクコミュニケーションの課題を指摘する趣旨だ。私は問題ないと思う。”@tucson_police
「区別」と「差別」を明確に切り分けることが重要 ~これを見誤ると加害者/被害者を生む危うさ~ – 山崎 毅(食の安全と安心)Blogos.com
小池都知事が新型コロナめぐる報道の仕方に苦言「常々どうかなと」Livedoor.com
日本リスクコミュニケーション協会理事にForbes JAPAN編集長の藤吉雅春氏とGACC代表の細窪政氏が新たに就任Prtimes.jp

2番目の記事は、放射性物質を理由に購入をためらう産地に福島県を挙げた割合は8%で、2013年の調査開始以来最少だった、という内容です。

3番目と6番目は朝日新聞記者の炎上がらみです。

5番目の「令和2年度職場における化学物質管理に関するリスクコミュニケーション(意見交換会)(第1回)議事録」、これはざら読みですがなかなか面白い内容です。企業側がどう対応したらよいのか、という部分にいろんなニーズがありそうです。

7番目の記事は以下のような記述があり、おそらく短期的でしょうけどこういうことに効果があるというのは大変興味深いです。

興味深いのは広島県で、湯崎知事が広島市中心部の市民80万人に対してPCR検査を実施すると宣言したところ、急激に1日の新規感染者数が減少し、今では広島市内で新規感染者が発生しない日もあるくらいまで、新型コロナ感染拡大が止まったということだ。

https://blogos.com/article/517770/

全体的に東日本大震災から10年という節目を意図したものが多くなりました。本ブログでも便乗して放射性物資のリスクに関する記事を2つ書いています。

東日本大震災から10年。放射性物質のリスク評価・管理を振り返る:その1 リスク評価編
東日本大震災による原発事故後の放射性物質の許容量と基準値の根拠について整理しました。緊急時と平常時、内部被ばくと外部被ばくという軸の組み合わせで4つの許容量があり、それぞれ別々のロジックにて決まっています。許容量が決まれば後は、実効線量換算係数などのパラメータを使って食品中濃度に換算することで、食品中放射性物質の基準値が決まります。
東日本大震災から10年。放射性物質のリスク評価・管理を振り返る:その2 リスク管理をめぐる3つのポイント
放射性物質のリスク管理では、内部被ばくと外部被ばくは別々に管理されており、全体の許容量があいまいなままになっています。また、許容量はリスクベースではなくALARA(As Low As Reasonably Achievable, 合理的に達成可能な限り低く)の原則で決まっており、何をもってALARAかという説明が不十分でした。さらに、検査の意味もリスク評価のためではなく基準値以上の食品をはじくことに意義を求めすぎてしまいました。

まとめ:2021年2月のリスクコミュニケーション

2021年2月のリスクコミュニケーションを解析した結果、コロナウイルスへの感染やワクチンに関するリスコミの話題は依然として高い注目を集めています。それに加えて、東日本大震災から10年を節目を迎え、原発事故や放射性物資のリスコミについての話題も多くなりました。

これで、1年通してsns定点観測の結果をブログ記事にしてきました。自分自身としては非常に得るものがありましたが、なかなかその面白さを伝えきれていません(なのでアクセス数も低い)。来月以降もデータの取得は続けますが、淡々と調査結果を書くよりもトピックを絞って書くようにリニューアルしてみたいと思っています。

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