2021年4~9月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果25~

twitter SNS定点観測

要約

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2021年度上半期(4~9月)の調査結果の特徴は、コロナワクチンのリスクへの注目が急上昇したことです。オリンピックのリスク懸念については、開始前にピークを迎えるものの開始後は急激に落ち込んだことがデータで示されました。

本文:2021年4~9月のリスク

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っているかを調査しています。方法については2020年3月の調査結果をご覧ください。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

2021年4~9月の期間のリスクに関するトピックと言えば、何と言っても緊急事態宣言下でのオリンピックの開催です。そしてコロナの感染拡大第4波(2021年4~5月)と第5波(2021年7~8月)のピークがありました。デルタ株の登場によって第5波は過去最大の感染拡大となりましたが、同時にワクチン接種が進み、9月に急激に収束していきました。

本記事では、定点調査として2021年4~9月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析した結果を報告します。以前は月毎にまとめて報告していましたが、今度から半年に一度に切り替えます。

Google Trends

Google トレンド

2021年4~9月の期間内で「リスク」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。

順位キーワードトピック
1日本 リスク コントロールビジネス
2リスクを冒さないことこそ最大のリスクだビジネス
3リスクテイカー 歌詞音楽
4qyld リスク金融
5PCR検査 低リスクとはコロナ
6コロナ ワクチン リスクコロナ
7持続化補助金コロナ
8ワクチン リスクコロナ
9低リスク感染型ビジネス枠コロナ
10小規模事業者持続化補助金コロナ

日本リスクコントロールというのは元警察官が立ち上げた危機管理会社で、代表の自叙伝が出版されたということで検索数が上がったようです。

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「リスクを冒さないことこそ最大のリスクだ」はインターネットプロバイダUQの新CMのセリフですね。私はこの類のセリフは非常に好きです。リスクを避けているつもりが他のリスクをどんどん上げてしまっている、というリスクトレードオフの話ですね。

「リスクテイカー」は、「すとぷり」という6人組エンタメ集団YouTuberによる曲のタイトルのようです(知らなかった)。

YouTube
作成した動画を友だち、家族、世界中の人たちと共有

QYLDというのは正式名称「グローバルX NASDAQ100・カバード・コール ETF」のティッカー(株やETFの略称)のことです。アップル、アマゾン、マイクロソフト、フェイスブック、グーグルなどの名だたるIT企業を投資先としつつも、リスクを抑えて高い分配金がもらえるETF(上場投資信託)です。「カバードコール」という私には解説できない複雑な仕組みで利益を出すようです。

他には、ワクチンのリスクや、コロナ持続化補助金に関する調べものが多いようです。

YAHOO!知恵袋

Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス
みんなでつくる便利でうれしい知恵の共有サービス。参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できるサイトです。

2021年4~9月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1政治、社会問題ワクチンワクチンは危険
2病気、症状ワクチンワクチンは危険
3健康、病気、病院ワクチンワクチンは危険
4病気、症状ワクチンワクチンを打つべきか迷っている
5不動産不動産人気の不動産を買うにはどうすればよいか
6CMリスク一般「リスクを冒さないことこそ、最大のリスクだ!」は名言
7結婚結婚働く気のない彼女と結婚するべきか
8家族関係の悩み妊娠高校生の娘の妊娠にどう対応すればよいか
9病院、検査ワクチンワクチンが怖い
10政治、社会問題ワクチンワクチンは危険

トップ10のうち6つがコロナワクチンは危険、コロナワクチンが怖いなどの話題になりました。

以前はコロナ関連でも〇〇しても良いか(旅行に行っても良いか、など)という相談が非常に目立っていましたが、そのような話はランク外になってしまいました。リスクのトピックがコロナ「感染」からコロナ「ワクチン」へと移り変わったことを表していますね。

ワクチン関連以外では、結婚や妊娠などの男女関係もの、不動産投資などの金融ものがありました。さらにはCMのセリフ「リスクを冒さないことこそ最大のリスクだ」がここでも出てきます。

Twitter

https://twitter.com/

2021年4~9月の間につぶやかれた「リスク」を含む1万ツイートを毎週収集し、リスク関連単語の使用頻度ランキングの月毎の推移をまとめました。

risk202104-twitterrank

注目すべきワードに色を付けてみました。まず、「コロナ」は半年間ずっと上位にいますが、6月以降は「ワクチン」に順位を逆転されます。ここでも知恵袋と同じでコロナのリスクからワクチンのリスクへと関心が移っていることがわかります。

「五輪」という文字は5月から7月まで上位に出てきます。8月になってしまうとオリンピックもパラリンピックもあったのに「五輪」というワードはランク外になっています。始まる直前まで五輪のリスクに関する議論が沸騰し、いざ始まってしまうとリスクのことはすっかり忘れ去られてオリンピックが盛り上がったことがデータからもよくわかりますね。

「重症」というワードの順位の推移は、ほぼコロナの重症者数の推移と同様になっています。6月は第4波と第5波の狭間でランク外になりました。

面白いのは「株」というワードの推移が「重症」の推移とほとんど同じになることです。これはなかなか考察が困難です。株の値動きと重症者数の推移は連動していませんし、むしろコロナが収まれば経済が回復して株への注目が上がるはずなのですが、ちょっとこの連動の謎はわかりませんね。

6月のランキングからは、「五輪」「開催」に関する「尾身」提言が出されて話題になったことがわかります。この内容については以前記事に書いています。

東京オリンピック2021開催に関する尾身提言のからくり:リスク評価としての出来は不十分
オリンピック開催に関する尾身提言の内容についてリスク評価の観点から見ていきます。飲食などの人流の増加の程度に関しては根拠が乏しく、安全目標も不明確で、リスク評価に基づいたリスク管理になっていません。最も気になるのは「解決志向リスク評価」の視点が欠けている点です。

ニュース

NewsAPIというツールを使って、タイトル中に「リスク」を含むニュースやブログのウォッチをしています。NewsAPIについての説明は過去の調査結果をご覧ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2021年4~9月の間にタイトル中に「リスク」を含むニュースは1267件配信されました。Twitterの分析と同様に、収集したタイトル中の単語頻度ランキングの月毎の推移をまとめました。注目ワードの背景色もTwitterのランキング表と同様です。

risk202104-newsrank

「コロナ」はずっと上位にあり、「ワクチン」が順位を上げていく、というトレンドはTwitterもニュースも同様です。でもニュースの方が「ワクチン」上昇トレンドはよりハッキリしていますね。

オリンピック関係では、「五輪」が5~7月しかランクインせず、6月に「尾身」「提言」がランクインするのもほとんどTwitterのトレンドと同じです。

Twitterと異なるのは「株」と「重症」のワードの順位が関係していないことです。Twitterのは単なる偶然だったのでしょうか?ニュースの場合、「重症」は第4波と第5波のピーク期であった5月と8月しかランクインしていませんでした。「株」も順位変動が激しいです。

リスクコミュニケーション

最後に、リスクコミュニケーションに関するツイートの定点観測結果をまとめていきます。

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、Twitter上で「リスクコミュニケーション」もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集しています。まずは2021年4~9月分を含めたツイート数の変化を下図に示します。

risukomi-tweetnumber2109

新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、2020年4月に3000件を超えてピークに達しましたが、その後は減少傾向を続け、2020年11月からコロナ第3波とともに増加に転じました。その後は2021年4~5月の第4波ではあまり増加が見られませんでしたが、2021年7~8月の第5波でまたグーンと増加しました

次に、リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容をまとめます。「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業でつけました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

2021年4~9月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。なんとトップ10全てがコロナウイルス関係となりました。

順位トピック要約
1コロナ菅首相はリスコミをやる意思がない
2コロナ吉村知事のリスコミが改善した
3コロナコロナに関するリテラシーの低い人がたくさんいるのは政府やマスコミのリスコミが失敗したせい
4コロナ尾身氏「日本はリスコミが弱い」
5コロナ感染のリスコミでは「現時点ではまだ大丈夫」的メッセージを出しては駄目
6コロナ吉村知事のリスコミが改善した
7コロナリスコミにおいて尾身氏の存在が重要
8コロナ東京都が楽観的なメッセージを出したのは最悪
9コロナリスコミは積み上げが重要
10コロナ西浦予測とリスクコミュニケーションは検証すべき

1位の菅首相のリスコミのまずさはかなり指摘が多かったですね。トップの本気のメッセージは重要です。ただし、それだけでコロナを抑えられるわけではありません。強力なメッセージ時を出せるイギリスのジョンソン首相やドイツのメルケル首相がいてもコロナ感染は日本よりもひどい状況です。リスコミで感染を抑えられるというのは単なる願望レベルでしょう

2位と6位では大阪府の吉村知事のリスコミが改善したと褒められています。大阪大学に移籍した忽那先生がブレーンについたのではと言われています。

3位について、この半年でリテラシーの低い人を見下すようなツイート(特に医師によるもの)が以前よりも目立つようになったと思います。リテラシーが低いことは悪いことであり、それを正してやることが正義!的な意見ですね。優越感に浸りたい人には良いかもしれませんが、このような考え方やものの言い方では解決になるどころか分断をさらに進める結果となるでしょう。

7位と9位について、コロナ分科会の尾身氏がインスタグラムを始めたり、若者との対談をするなどリスコミ活動を活発に行うようになりました。

まとめ:2021年4~9月のリスク

2021年度上半期(4~9月)の「リスク」のトレンドを解析した結果、コロナのリスクからワクチンのリスクへの人々の注目が移ったことが明確に示されました。この間最大のイベントであったオリンピックについては、開催前にリスクの懸念がピークになりましたが、いざ開催されるともうリスクへの興味は無くなってしまったようでした。

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