2022年4~2022年9月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果27~

twitter SNS定点観測

要約

Google検索履歴やYAHOO!知恵袋、Twitter、News APIを用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2022年度上半期(4~9月)の調査結果から、ウクライナ情勢はトレンドから消え、コロナ第7波と猛暑による熱中症がトレンドとなっていました。

本文:2022年4月~2022年9月のリスク

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っていたりするかを調査しています。方法については2020年3月の調査結果をご覧ください。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

2022年4月~2022年9月の期間のリスクに関するトピックは、ロシアによるウクライナ侵攻が半年経過してもまだ続いていること、オミクロン株によるコロナ第7波(7-8月)、猛暑でマスクへの嫌気が増加、事故・事件では知床観光船の沈没事故、安倍元首相の殺害、保育園バスの置き去り死亡事故、などでしょうか。

本記事では、定点調査として2022年4月~2022年9月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析した結果を報告します。以前は月毎にまとめて報告していましたが、現在は半年に一度報告しています。

Google Trends

Google トレンド

2022年4月~2022年9月の期間内で「リスク」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。

順位キーワードトピック
1柴胡加竜骨牡蛎湯 ハイリスク医療
2エクセル セキュリティ リスク情報セキュリティ
3ゼロリスク 思考リスク一般
4頑健リスク一般
5セキュリティ リスク このファイルのソースが信頼できないためmicrosoftによりマクロの実行がブロックされまし た情報セキュリティ
6リスクの反対語リスク一般
7みんなで大家さん リスク金融
8前立腺 刺激 リスク性行為
9excel セキュリティ リスク このファイルのソースが信頼できないためmicrosoftによりマクロの実行がブロックされまし た情報セキュリティ
10シミ リスク チェッカー美容

1位は漢方薬ですが、何が話題になっていたのかはよくわかりませんでした。エクセルのセキュリティリスクは2, 5, 9位に入っており、これもこの半年で話題になったようですが、詳細は不明です。3位のゼロリスク思考は、恋愛や出世に消極的な若者を指している模様です。7位の「みんなで大家さん」は今回初めて知りましたが、結構以前からある不動産投資型クラウドファンディングのようです。シミリスクチェッカーは資生堂が運営する、顔写真からシミリスクを判定するWEBアプリのようです。

【メラニン分析】 HAKU
あなたのシミリスク度は?メラニン分析

トップ10のうちコロナ関係は前の半年は3つありましたが、この半年ではゼロとなりました。ロシアのウクライナ侵攻関係はランク外になってますね。

YAHOO!知恵袋

Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス
Yahoo!知恵袋はみんなでつくる便利でうれしい知恵の共有サービス。参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できるサイトです。

2022年4月~2022年9月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1政治、社会問題農業化学肥料や農薬を使わない農業を目指した場合、作物生産への負のリスクをどうするのか?
2病気、症状ワクチン3回目ワクチンの副反応はどの程度か?
3病気、症状コロナ満員電車のコロナ感染リスクはどのくらいか?
4病気、症状コロナオミクロンに二回かかるリスクはあるか?
5K-POP、アジア不正・不法行為ヨントン撮影がバレるリスクはあるか?
6観光地、行楽地交通事故知床観光船事故を起こした会社はリスクをとって船を出しただけで悪いことはしていない。
7病院、検査コロナ市販の抗原検査キットでコロナ陽性が確認されてもさらに病院で確定検査が必要なのは周囲への感染リスクを上げるだけでは?
8大学受験受験リスクをとって浪人するか滑り止めで合格した大学に行くか迷っている。
9病院、検査医療線虫検査でがんリスク陽性になった場合にどの程度がんの可能性があるのか?
10観光地、行楽地コロナ沖縄旅行でコロナ感染で特に注意したほうがいいことは何か?

トップ10のうち4つがコロナ関係、ワクチンのリスクは1つでした。ワクチンのリスクは2021年度上半期はトップ10のうち6つ、2021年度下半期はトップ10のうち4つでしたので、徐々に関心が下がってきているようです。

他には農薬、不正行為、交通事故、受験(人生選択リスク)、医療など、だいたいいつもと同様のトピックがランクインしました。

Twitter

https://twitter.com/

2022年4月~2022年9月の間につぶやかれた「リスク」を含む1万ツイートを毎週収集し、リスク関連単語の使用頻度ランキングの月毎の推移をまとめました。

tweets

注目すべきワードに色を付けてみました。基本的にツイッターでは投資のリスクの話題が多いです。また、「コロナ」はずっと上位をキープしていますが、特に7-8月の第7波の際にランクが上がっています。ワクチンも同様に上位をキープし続けており、相変わらず反ワクチンの主戦場として機能していることがうかがえます。

この夏に特徴的であったのが「熱中」と「マスク」ですね。6月が非常に暑く、熱中症が多数発生しました。その戦犯とされたのがマスクです。「マスクを付けると熱中症のリスクが上がるから外すべき」という主張が目立ちました。このことは別の記事で詳しく解説しています。

熱中症になるからマスクは外すべき? 一見リスクの話をしているようで実はそうではない例
マスクと熱中症の関係は「一見リスクの話をしているようで実はそうではない」問題の一つと考えられます。マスク生活にうんざりしている人たちが熱中症のリスクみたいな(都合の良い)情報に「これだっ!」と飛びついて「マスクは外すべき」となることを、認知的不協和理論を用いて解説します。

前の2-3月では「ロシア」、「ウクライナ」が上位にありましたが、4月からもうランク外になってしまいました。まだ戦争は終わる気配がありませんが、日本での関心が薄れるのが早いようです。

ニュース

NewsAPIというツールを使って、タイトル中に「リスク」を含むニュースやブログをウオッチしています。NewsAPIについての説明は過去の調査結果をご覧ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2022年4月~2022年9月の間にタイトル中に「リスク」を含むニュースは996件配信されました。Twitterの分析と同様に、収集したタイトル中の単語頻度ランキングの月毎の推移をまとめました。注目ワードの背景色もTwitterのランキング表と同様です。

News

ツイッターが投資のリスク話題が多いのに対して、ニュースでは経済のリスクの話題が多いです。

「コロナ」の登場頻度はやはり夏の第7波で高くなり、一方でワクチンのリスクはすでにニュースにならなくなっています。これはツイッターとは大きく異なるトレンドですね。

6-8月にかけて熱中症に関するニュースが多くなっていますが、「マスク」との関連は付いてないようです。

「ロシア」はかろうじて4月にランクインしましたが、その後はランク外です。ツイッターだけではなくニュースでもリスクの文脈としては取り上げられていないようです。

リスクコミュニケーション

最後に、リスクコミュニケーションに関するツイートの定点観測結果をまとめていきます。

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、Twitter上で「リスクコミュニケーション」もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集しています。まずは2022年4月~2022年9月分を含めたツイート数の変化を下図に示します。

RiskCom

新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、2020年4月に3000件を超えてピークに達しましたが、その後は減少傾向を続け、その後はコロナ第3波、第5波、第6波、第7波の感染拡大とともにピークが見られました。ただし、オミクロン株登場以降の第6波、第7波ではピークといってもそれまでに比べると低調な水準になりました。どんどんリスコミへの関心が薄れていっています。

次に、リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容をまとめます。「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業で付けました。いいねがたくさん付いたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

2022年4月~2022年9月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。

順位トピック要約
1コロナコロナに対して政府が何もしない、というのも一つの態度として国民に伝える必要がある。
2コロナ軽症者が医療機関や保健所をパンクさせてしまうのはリスクコミの失敗である。
3ワクチン報道機関は反ワクチンに加担せずにリスコミの責任を果たせ。
4コロナコロナの重症度分類はオミクロン株に当てはまらないので更新すべき。
5農薬ドイツでは反農薬が広がり農薬規制が強化。リスコミの失敗。
6農薬イギリスではリスコミが成功し、反農薬を抑え込んだ。
7コロナ西村康稔氏の本にリスコミの専門家に指南してもらったと書いてある。
8コロナ常に情報をアップデートするのが正しいリスコミ。
9コロナコロナは普通の風邪ではない。リスコミの失敗。
10コロナ「医療ひっ迫を避けるためにコロナの位置づけを変えよう」というのは現時点でリスコミの失敗

トップ10のうち7つがコロナウイルス関係(コロナワクチンも含めると8つ)となり、リスコミへの注目はコロナ関連で占められていることがわかります。前の半年では入っていたウクライナ情勢に関するものはランク外となりました。

注目すべきは2位と4位のツイートでしょうか。第7波では重症者が少なくなり、軽症者で医療機関がパンクする例が多かったようです。とにかく病院に行って陽性判定をもらわないと何もできない(休むこともできない)ので、受診の必要のない人であふれかえるわけですね。

一方で、これまでの重症肺炎というのはあまり見られなくなり、軽症の中でのさらなる分類(本当に風邪程度のものから高熱で一週間も寝込むなども軽症に分類される)が必要になってきました。「軽症」というイメージと実際の症状の重さが合わなくなっています。

まとめ:2022年4月~2022年9月のリスク

2022年度上半期(4~9月)の「リスク」のトレンドを解析した結果、リスクのトレンドはコロナ第7波と猛暑による熱中症であり、ウクライナ情勢はトレンドから消えてしまったことがデータで示されました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました