2020年6月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果8~

twitter SNS定点観測

要約

リスクコミュニケーションに関するツイートを解析しています。ツイート数は4月をピークに下がり続けています。内容としては、新型コロナ対策の専門家会議の動向に大きな注目が集まりました。今月から始めたニュースやブログ記事の解析でも同様に専門家会議の動向が話題となりました。

本文:6月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、はツイッター上で「リスクコミュニケーション」、もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集して解析しています。これまでのsns定点観測結果はこちらにあります。

SNS定点観測
「SNS定点観測」の記事一覧です。

本記事では2020年6月のツイートを解析した結果を報告します。発言数の経時変化、使用頻度の高い単語、「いいね」数トップ10ツイートの順にみていきます。さらに、今月からニュースやブログ記事の解析も始めました。

リスクコミュニケーションに関するツイート数の経時変化

まずは2020年6月分を含めたツイート数の変化と、ツイート数+リツイート数までを含めたツイートの広がりの数の推移を下図に示します。

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新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、1月以降上昇を続けて4月にピークに達しましたが、5月以降は減少傾向が続いています。6月は新規感染者数が底を打ち、人々の関心・注目も薄まって言った模様です。なお、7月はまた感染が急拡大しており、そこでの関心・注目がどうなるか注視していきたいと思います。

リスクコミュニケーションに関するツイート内の単語の使用頻度

次に、使用頻度の高い単語トップ50単語(リスク、コミュニケーション、リスコミの3つを除いています)をワードクラウドにまとめてみました。

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トップは解析を始めて以来4か月連続で「専門」です。しかも、その4か月のなかでも一番「専門」の文字が大きくなっています。「会議」という文字もこれまでになく大きくなっています。6月のリスクコミュニケーションは専門家会議の動向に大きく引っ張られたことがうかがえます。

個人名としては西村大臣や西浦教授の名前が入っています。専門家会議の廃止を発表したのが西村大臣でした。また、感染が一段落し、西浦教授による42万人死亡の予測が大きく叩かれました。しかし、7月の感染再拡大を受けてまたその様相も変わりつつあります。

専門家会議は今後のリスクコミュニケーションは専門家会議ではなく政府が主導するべき、と提案しています。

次なる波に備えた専門家助言組織のあり方について(記者会見発表内容)|コロナ専門家有志の会 | COVID-PAGE
2020年6月24日、日本記者クラブにおいて、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の脇田隆字氏、尾身茂氏、岡部信彦氏が、構成員一同を代表して、これまでの活動を総括するとともに、今後の感染拡大のリスクに備えて、新たな専門家助言組織のあり方を提案するため、記者会見を行いました。 会見した3名は、コロナ専門家有志の会メ...

現時点ではこのような提案に対する動きは見えてこないようです。緊急時だけではないリスクコミュニケーション組織の常設化が期待されるところです。

また、専門家助言組織には、政府のリスクコミュニケーションのあり方にアドバイスできる専門人材を参画させるべきであるとも提案しています。専門家会議の後継として誕生した「新型コロナウイルス感染症対策分科会」のメンバーにはヘルスケアコミュニケーションプランナーの肩書をもつ石川晴巳氏が入っています(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/pdf/meibo-corona.pdf)。この方がおそらくリスクコミュニケーション担当なのでしょう。もともと「新型インフルエンザ等対策有識者会議」のメンバーでもある方です(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ful/pdf/meibo-yusikisya.pdf)。

リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容

「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業で付けました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

6月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。トップ10すべてがコロナウイルス関係です。

順位トピック要約
1コロナ全員PCRの発想はリスコミを避けてきた結果
2コロナ6/24の専門家会議による会見では政府とのリスコミ上の齟齬が語られた。
3コロナリスコミは新型インフルの時からおかしくなった
4コロナリスコミに取り組む人ががネトウヨという言葉を多用していることについて
5コロナ専門家会議の提言(リスコミの体制を見直す)を重く受け止めるべき
6コロナリスコミは失敗でも感染症対策の方針は正しかった。うまくいってないのは経済対策
7コロナリスコミについての専門家会議との役割分担を決めきれなかったのは政府の問題
8コロナ尾身氏など専門家への敬意がないのは残念
9コロナ専門家会議が勝手に進言するような構造でリスコミが上手くいくわけがない
10コロナ西浦氏の予測はリスクコミュニケーションの問題で、計算違いだと思っていないようだ

1位について、PCRで安心を得たい、陰性を証明したいという呪縛をとるのは本当に難しいですね。粘り強いリスコミが必要です。

3位について、リスコミは10年前に比べたら説得の技法だと思っている人はだいぶ減ったので、ずいぶんと良くなっていることは間違いないです

6位について、リスクと経済のトレードオフ関係については全くコミュニケーションされていないと思います。リスクコミュニケーションというと「リスクだけコミュニケーションする」というイメージになるかもしれませんが、それだけでは不十分です。

7位について、役割分担を決めるのはリスクガバナンスの仕事です。そしてリスクガバナンスにもまた専門家が必要です。

ニュースとブログ記事

2020年6月の「リスク」の解析ではNwesAPIを用いたニュース分析をやってみました。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

リスクコミュニケーションでもこれを試してみようということで、6月に「リスクコミュニケーション」を含むニュースやブログ記事を抜き出してみました。結果は8件です。ドメイン名から見るとニュースが5件、ブログが3件です。ニュースに「リスクコミュニケーション」という言葉が登場することは少ないようですね。得られた8件の記事のタイトルのみを表にして示します。

タイトルソース
西村大臣の専門家会議廃止発言 リスクコミュニケーションの必要性 フェイクは善意で作られる – 中村ゆきつぐBlogos.com
リンク: 2020年6月24日のCOVID-19専門家会議の会見Hatenadiary.jp
政府と役割分担を 専門家会議が提案Livedoor.com
コロナ対策の責任どこに-専門家に矛先も、問われる政府との役割分担 – BloombergBloomberg.co.jp
コロナ報道、ギャップは最後まで残った 東大医科研教授Asahi.com
新型コロナ:健康被害の起こりうるリスクは? ~ゼロリスクはないが、許容可能なリスクなら安全~ – 山崎 毅(食の安全と安心)Blogos.com
「新しい生活様式を自分で実践しますか」専門家会議に参加している公衆衛生学者に聞いたNewsweekjapan.jp
事前予約制で「科学未来館」再開 東京・江東区Livedoor.com

やはり専門家会議についての記事が多いです。会議の廃止について、あたかも専門家会議が政策を決定しているような印象を与えた話、そのうえで役割分担を明確化する必要があるということ、などの内容となっていました。

まとめ:6月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関するツイート数は4月をピークに下がり続けています。内容としては、専門家会議の動向に大きな注目が集まりました。今月から始めたニュースやブログ記事の解析でも専門家会議の動向が話題となっていました。

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