要約
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年8月の調査結果から、GOTOトラベルキャンペーンにより旅行に行っても大丈夫かどうかの判断に悩んでいる人が多いことがわかりました。ツイッターではコロナに関して明らかに気の緩みが見られ、ニュースで高い警戒がなされている状況と大きく異なっています。
本文:8月のリスク
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っているかを調査しています。方法については3月の調査結果をご覧ください。
8月は7月からのコロナ感染拡大が収束傾向を見せました。また、寒かった7月から一転して猛暑となり熱中症で亡くなる方が続出しました。さらに川遊びなどの水難で亡くなる方も多かった月です。
本記事では定点調査として8月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析してみました。今月もニュースとブログの分析を試行錯誤しています。
Google Trends
2020年8月の期間内で「リスク」と共にどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。
順位 | キーワード | トピック |
1 | 地政学 リスク | 政治 |
2 | 映画館 コロナ リスク | コロナ |
3 | リスクオブレイン | ゲーム |
4 | 温泉 コロナ リスク | コロナ |
5 | リスクオブレイン2 | ゲーム |
6 | レピュテーションリスク | ビジネス |
7 | 温泉 コロナ 感染 リスク | コロナ |
8 | リスクアセスメント とは | リスク一般 |
9 | リスクマネジメント とは | ビジネス |
10 | リスクマネージメント | ビジネス |
先月の調査では注目キーワードは9つのうち2つがコロナウイルス関連でしたが、2020年8月では10個のうち3つとなりました。映画館や温泉の感染リスクがランクインしており、特に温泉の方はGOTOキャンペーンで温泉旅行に行っても良いかどうかを知るための検索と考えられます。例えば以下のニュースではコロナ収束後の旅で行いたい活動のトップに温泉が挙げられているようです。
観光経済新聞:トップは「温泉」 コロナ収束後の旅で行いたい活動
ということで、以前本ブログにて4回のシリーズ記事として書いた「○○しても大丈夫か?」という情報ニーズはまだまだ高いようです。
コロナ関連以外ではリスクマネジメント系のビジネス関連の検索が多くなっていますね。また、熱中症や水難などの話題は見られませんでした。
YAHOO!知恵袋
2020年8月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。
順位 | カテゴリー | トピック | 要約 |
1 | 事件、事故 | 交通事故 | 最近起きたポルシェの事故は殺人である |
2 | 家族関係の悩み | コロナ | 旅行に行っても大丈夫か? |
3 | 病気、症状 | コロナ | 近くで咳をされた場合の感染リスクは? |
4 | 病気、症状 | コロナ | 帰省してもコロナは大丈夫か? |
5 | 恋愛相談、人間関係の悩み | 性行為 | 生理中に性行為を要求されるのが嫌だ |
6 | 恋愛相談、人間関係の悩み | コロナ | 歯医者に行っても大丈夫か? |
7 | 喫煙マナー | タバコ | 喫煙者が規制を受けて譲歩しているのだから嫌煙者も歩みよるべきだ。 |
8 | 政治、社会問題 | コロナ | GOTOトラベルを活用しても良いか? |
9 | 恋愛相談、人間関係の悩み | 性行為 | 自慰行為の動画を要求されるのが嫌だ |
10 | 病気、症状 | 花粉症 | 妊娠中に花粉症の薬を飲みたいが大丈夫か? |
先月はトップ10のうち5つがコロナウイルス関係の質問でしたが、2020年8月もトップ10のうち5つがコロナウイルス関係の質問でした。内容は先月に引き続き、旅行に行っても大丈夫か、帰省しても大丈夫か、歯医者にいっても大丈夫か、GOTOトラベルキャンペーンを活用しても大丈夫か、など、ほとんどが行動の可否を問う質問(「○○しても大丈夫か?」もの)でした。これだけのニーズがあるにもかかわらず、日本では活動毎のリスクを段階で示すものが相変わらず出てきません。さらに悩みの種はだいたい家族の誰かが(メインはお父さん)が旅行などに出かけたがっていて、他の誰かが(ほとんどがお母さん)がそれに反対している、というリスク選好度の違いによるトラブルとなっています。ただし今回の歯医者は逆のパターン(旦那が反対している)でした。
コロナ関連以外では、性にまつわるものが2つあり、こういう相談はネット上でしかできないと考えている人が多いようです。身近なリスクとして普段目に見えにくいですが非常に重要なものです。
グーグルトレンドと同様、熱中症や水難などの話題は見られませんでした。
2020年8月の間につぶやかれた「リスク」を含む1万ツイートを毎週収集し、リスク関連単語の使用頻度ランキングを作成しました。ワードクラウドと表で表します。
頻出単語トップ40はまだまだコロナ関連と思われる単語が多数並んでいます。表には先月順位との比較を示しており、先月より順位が上がった(もしくは100位以下から新たにランク入り)ものは青(10位以上上がったものは濃い青)、順位が下がったものは赤で塗りつぶしています(10位以上下がったものは濃い赤)。
感染、人、コロナは相変わらずトップ3をずっと維持し続けています。コロナウイルスのワクチンがさらに実用段階に近づいたことで、「ワクチン」の順位が大きく上がっています。逆にコロナ関連で順位を下げたのは検査、対策、新型、ウイルス、重症などの単語です。感染者数が減少傾向になったことで警戒が緩んでいることが考えられます。
その代わりに、仕事、投資、会社、お金、企業などの経済関連の単語は順位を軒並み上げました。7月は感染者が増加したことで、コロナ関連単語の順位が上がり、これら経済関連単語の順位は下がりました。感染者数の増減に一喜一憂して、感染防止か経済かと意識が動いているのがわかります。感染者数が減るとすぐに油断しているのが本当にわかりやすいですね。
コロナ関連以外で目立ったのは「熱中」が6位に入ったことですね。8月は熱中症による死者の報道が相次ぎました。
次に属性による違いを見ていきます。「リスク」を含むツイートの中から、自己紹介欄に「サラリーマン」もしくは「主婦」と書いてあるツイートをさらに抽出してワードクラウドを比較してみると以下のようになります。
先月に引き続きの傾向ですが、サラリーマンではリスクといえばコロナよりもお金儲けで頭がいっぱいです。一方で、主婦のツイートはコロナ関連ワードが相対的に大きいことがわかります。YAHOO知恵袋によく出てくる家族間のトラブルの原因がこのあたりに起因していることがうかがえますね。
ニュースとブログ
2020年6月からNewsAPIというツールを使って「リスク」に関するニュースやブログのウオッチを始めてみました。方法についての簡単な説明は6月の調査結果をご覧ください。
ニュース・ブログ提供元のソースを限定してニュースを抽出できるので、先月までにいろいろと比較してみた結果、YAHOOニュースがバランスがとれている印象でした。よってこれからはYAHOOニュースを主に取り上げていこうと思います。ワードクラウドと、ツイッターとの単語頻度ランキングの比較を以下に示します。
ニュースではツイッターに比べると新型、ウイルス、月、拡大、高齢、東京、企業、確認などの単語の順位が非常に高くなっています。つまり、新型コロナウイルスの感染が拡大していて東京の感染者数は〇〇月でどのくらいで、高齢者のリスクが〇〇などの報道が強調されていることがわかります。ツイッターに出てこない単語として、夏、関東、米国、規制、警戒、予想、お盆、などがあり、夏のお盆休みの帰省による感染拡大を警戒するようなニュースが多かったことを想像します。ニュースではコロナに関して気の緩みはあまり見られず、かなり違っていて面白いですね。
まとめ:8月のリスク
8月のリスクの解析の結果、「〇〇しても大丈夫か?」という情報ニーズは高いままとなっており、特にGOTOトラベルキャンペーンにより旅行に関しての判断材料が必要とされています。ツイッターではコロナに関して明らかに気の緩みが見られ、ニュースで高い警戒がなされている状況と大きく異なっています
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