2020年10月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果16~

twitter SNS定点観測

要約

リスクコミュニケーションに関するツイート・ニュースを解析しています。2020年10月はコロナに関する話題は減少し、相対的に原子力や食品関係の話題が目立つようになってきました。特に、トリチウムを含む処理水の海洋放出の決定見送りについてのニュースが大きな話題となりました。

本文:10月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、ツイッター上で「リスクコミュニケーション」、もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集して解析しています。これまでのsns定点観測結果はこちらにあります。

SNS定点観測
「SNS定点観測」の記事一覧です。

本記事では2020年10月のツイートを解析した結果を報告します。発言数の推移と使用頻度の高い単語、「いいね」数トップ10ツイート、ニュース・ブログ記事の順で見ていきましょう。

リスクコミュニケーションに関するツイート数の経時変化とツイート内の単語の使用頻度

まずは2020年10月分を含めたツイート数の変化を下図に示します。先月からはシンプルにツイート数だけを示しています。

risukomi-tweetnumber2010

新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、4月に3000件を超えてピークに達しましたが、その後は感染再拡大の際にも関係なく減少傾向を続けています。10月は9月とほぼ同じとなりました。落ち着いている時こそリスコミを仕込む重要な時期だとは思うのですが、話題にすら上らなくなりつつあります。

次に、使用頻度の高い単語トップ50単語(リスク、コミュニケーション、リスコミの3つを除いています)をワードクラウドにまとめてみました。

risukomi2010

かろうじてコロナがトップになりましたが、「食品」が2位(先月4位)まで上がってきました。添加物も順位を上げています。一方で、コロナ禍で6か月連続トップであった「専門」は10位以下にまで下がりました。

「トリチウム」「海洋」「放出」の単語が新たに入っており、これはトリチウムを含む処理水の海洋放出の決定を見送ったとのニュースがあったことを反映しています。

海洋放出、「決定」は見送ったが... 福島第1原発の汚染処理水問題が大詰め
東京電力福島第1原発の敷地内にたまり続けているトリチウムを含む汚染処理水について、政府は海に流して処分する方向に動いている。当初は2020年10月27日にも、廃炉・汚染水対策の関係閣僚会議を開いて決定する方針だったものの、風評被害への懸念が強いことなどから見送るが、対策については今後も議論を詰め、早急に決定したい考えだ...

また、「クライシス」が新たにランクインしており、以下の新刊が話題になったようです。内容についてはよくわかりませんが、帯に「尾身茂氏推薦」と書かれているので公衆衛生分野の本のようです。

クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション(CERC)危機下において人々の命と健康を守るための原則と戦略 蝦名玲子

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リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容

「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業でつけました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

10月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。先月はトップ10のうち9つがコロナウイルス関係でしたが、今月はトップ10のうち4つがコロナウイルス関係となりました。

順位トピック要約
1原子力(放射性廃棄物の最終処分場の文献調査に応募した)寿都町とのリスコミに努力すべき
2情報セキュリティ(ドコモ口座を例に)リスコミはまずリスクをなんとかしてから
3コロナ台湾はコロナ対策の初動やリスコミが良かった
4コロナPCR検査が少ないのはリスコミの失敗とは関係ない
5コロナ体操の内村選手の偽陽性の問題について、リスコミを含めて検査計画を立てるべき
6原発事故トリチウム海洋放出に関して、マスコミは風評被害を煽る発言ばかり取り上げる
7ワクチンワクチンのリスコミは遅れている
8リスコミ一般日本企業はリスコミができない
9リスコミ一般リスク対応は重要
10コロナ日本のコロナ対応はリスコミが脆弱

放射性廃棄物の最終処分場の文献調査に応募した寿都町やトリチウムを含む処理水の海洋放出の話題があるように、原子力関係が目立つようになりました(というよりもコロナ関係が目立たなくなり、相対的に原子力関係が浮上してきました)。

5位について、偽陽性はリスコミの問題なのだろうか、ちょっと疑問です。偽陽性のことを事前に何も考えてなかったという驚きの体制の問題かと思います。

ニュースとブログ記事

NwesAPIを用いたニュースとブログの分析も行っています。方法については以前の記事を参照ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

10月の「リスクコミュニケーション」を含むニュース・ブログ記事は3件と、平均5件前後でずっと続いています。内訳はニュースが1件、ブログが2件です。以下に記事のタイトルを表にして示します。

タイトルソース
福島原発のトリチウムを含む処理水~海洋放出のリスクはどの程度?~ – 山崎 毅(食の安全と安心)Blogos.com
GO TO EAT:感染リスク低減のポイントは・・~マスクを外したときに飛沫を浴びないこと~ – 山崎 毅(食の安全と安心)Blogos.com
感染症対策の司令塔、「東京iCDC」立ち上げTbs.co.jp

トリチウムを含む処理水の海洋放出、GoToEatの感染対策、東京版CDCの立ち上げの話題がありました。東京版CDCにはリスコミチームがあるのが特徴とされています。早速アンケート調査の結果が報告されています。

リスコミチームを立ち上げました!|iCDC(東京都公式)|note
1.リスクコミュニケーションチームを立ち上げました 新型コロナウイルス感染症をめぐっては、国内外でリスクコミュニケーションの必要性があらためて認識されました。リスクコミュニケーションとは、個人、機関、集団間で情報や意見のやりとり(相互作用プロセス)を通じて、リスク情報とその見方の共有を目指す活動のことを言います。 東...

小池都知事が提案した「5つの小」ですが、リスコミチームは関わっているのでしょうか(関わっていないでしょうね)。

小池都知事「5つの小」を提唱 会食時のコロナ感染予防策(THE PAGE) - Yahoo!ニュース
 東京都の小池百合子知事は19日、記者会見し、新型コロナウイルスの新規陽性者などが増加しているとして、都が定めた警戒レベルを最も深刻なレベルに引き上げたと発表した。会見で、小池知事は、「あと10日も

まとめ:10月のリスクコミュニケーション

2020年10月のリスクコミュニケーションを解析した結果、コロナに関する話題は減少し、相対的に原子力や食品関係の話題が目立つようになってきました。トリチウムを含む処理水の海洋放出の決定見送りについてのニュースが大きな話題となったようです。また、寿都町や神恵内村が核廃棄物最終処分場の候補地文献調査に応募したことも話題となりました。

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