レギュラトリーサイエンス

リスク比較

リスク比較の手法は示す相手や目的に依存する―相手・目的にあったリスク比較を行うポイント

リスク比較を行う際に重要なことは、まず比較を示す相手と示す目的を整理することです。 どの指標を使うか?どの方法を使うか?どこまで細かくやるか?何と何を比較するか?などは、比較を示す相手や比較を示す目的に大きく依存します。このことを交通事故のリスクを例にして説明していきます。
リスクガバナンス

ドアノブなどを拭くのは本当にムダなのか?コロナウイルス表面除染のリスク学

コロナウイルスの感染経路は飛沫が重要なので、モノの表面はドアノブなどの「みんなが触るところ」よりも「飛沫が直接かかるところ」に注意が必要です。消毒薬はその使用自体にリスクがある次亜塩素酸やアルコールよりも家庭用洗剤で十分ですが、規制の枠組み上商品にそのような表示ができません。
基準値問題

ソーシャルディスタンスのからくり4:スパコン富岳が示す距離1mの効果

ソーシャルディスタンスが感染予防に効果的であることが、スパコン富岳による飛沫の飛散シミュレーションによって示されています。一連のシミュレーションを総合すると「マスクなしなら2m、マスクありなら1m」となり、これまでの日本のソーシャルディスタンスの基準と一致することがわかりました。
基準値問題

ソーシャルディスタンスのからくりその2:本当に意味があるのかどうかの科学的根拠を調べる

ソーシャルディスタンスの科学的根拠を知りたい場合には「科学的根拠」ではなく「エビデンス」や「メタアナリシス」なのワードとともに検索したほうが質の高い情報にあたります。ソーシャルディスタンスはその根拠は限定的ながら、コロナ感染リスクの低減におおむね効果があると考えてよいでしょう。
リスクガバナンス

コロナウイルスのリスクガバナンスにおける科学と政治その2:専門家会議(的なもの)の状況や役割の違いを比較してわかったこと

新型コロナウイルス対策において専門家から政府に助言をする組織は専門家会議を含め3つあり、それらのメンバーや役割を整理したところ、それぞれ重複があり「どこからどこまで」を審議するものなのかあいまいなことがわかりました。
リスクガバナンス

コロナウイルスのリスクガバナンスにおける科学と政治その1:感染症対策における科学と政治の歴史

要約 ワクチン接種における意思決定における科学の役割については、戦後GHQによる強制的な接種(科学の介入の余地なし)、意思決定の科学化(専門家の意見の取り入れ)、科学と政治の対立、科学から市民による意思決定へと変遷を遂げてきています。 本文 コロナウイルスのリスクガバナンスにおけ...
基準値問題

有機フッ素化合物PFOS・PFOAのリスクはどのくらい高いか?その1:世界一厳しい日本の基準値のからくり

PFOS・PFOAは最近になり日本で水道水や環境水での目標値・指針値(基準値的なもの)が50ng/Lと策定されました。一方世界各国では70~10000ng/Lまで幅があり、日本が世界一厳しくなっています。無影響とされる量や基準値を決める際の仮定の組み合わせによりこのような差が出てきます。
基準値問題

職場でのコロナ対策は自粛が開けてからが本番。発熱等疑わしい症状から職場復帰するまで何日必要か?

発熱等コロナウイルス感染症を疑う症状があった場合、職場に復帰するには陰性証明をもらう必要はありません。症状後8日かつ症状消失後3日経過後という目安が示されています。これはコロナウイルスの感染力の持続性が根拠となっています。
基準値問題

コロナウイルスとのたたかいは何をもって収束と言えるのか?都道府県独自基準のからくり

安全とは「許容できないリスクのないこと」と定義されるので、許容できないリスクの定義が必要です。コロナウイルス対策に関しては医療崩壊が起こることが許容できないリスクとみなされ、都道府県ごとに異なる状況にあわせて独自の基準が出されてきました。
基準値問題

何メートル離れれば安全なのか?ソーシャルディスタンスのからくり

ソーシャルディスタンスの距離は、ニュージーランドとイギリスで2m、米国では1.8m、オーストラリアで1.5m、シンガポールで1mです。日本ではマスクなしで2m、マスクありで1mです。この差は科学的な根拠に基づくものではなく、それぞれ科学と現実の狭間から生まれたものであろうと推測されます。