2020年5月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果6~

twitter SNS定点観測

要約

リスクコミュニケーションに関するツイートを解析しています。コロナウイルス新規感染者の減少と緊急事態宣言の解除によってリスクコミュニケーションに関するツイート数は4月をピークとして急激に減少しました。内容的には専門家会議の発信が大きな関心を集めたようです。

本文:5月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、ツイッター上で「リスクコミュニケーション」、もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集して解析しています。これまでのsns定点観測結果はこちらにあります。

SNS定点観測
「SNS定点観測」の記事一覧です。

本記事では2020年5月のツイートを解析した結果を報告します。発言数の経時変化、使用頻度の高い単語、「いいね」数トップ10ツイートの順にみていきます。

リスクコミュニケーションに関するツイート数の経時変化

まずは2020年5月分を含めたツイート数の変化と、ツイート数+リツイート数までを含めたツイートの広がりの数の推移を下図に示します。

risukomi-tweetnumber2005

新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、2020年1月以降上昇を続けて4月にピークに達しましたが、5月に入ると急激に減少しだしました。新規感染者も4月をピークに減っており、緊急事態宣言の解除と相まって人々のリスクコミュニケーションに関する関心・注目も急激に失われているようです。

リスクコミュニケーションというのは緊急時よりもむしろ平時にこそ重要であるので、緊急時から抜け出して一気にリスコミ熱も下がるというのは本来望ましいことではありません。せっかくリスクコミュニケーションへの注目が増えたので、ここからむしろ次の流行やコロナ以外のリスクにも目を向けてリスコミのあり方や人材育成、体制整備などをしていくべきではないかと思います。原発事故の時もそうだったのですが、その時だけ盛り上がってまた次の重大リスクを迎えたときにリスコミ不在と騒がれるわけなのですね。

リスクコミュニケーションに関するツイート内の単語の使用頻度

次に、使用頻度の高い単語トップ50単語(リスク、コミュニケーション、リスコミの3つを除いています)をワードクラウドにまとめてみました。

risukomi2005

トップは3か月連続で「専門」です。緊急事態宣言が当初の5月6日までから延長されたり、その後解除になって新たな生活様式が提案されたりなど、専門家会議の発信するメッセージに大きな注目が集まった5月だといえます。ただ、先月ランクインしていた個人の専門家名はなくなりました。ほかにも「失敗」や「批判」のような単語は目につきます。ツイッターはもともと他者への批判にあふれていますが、リスコミに関しても同様です。「メディア」「責任」などもランクインし、本来専門家と市民をつなぐ役割としての責任があるはずのメディアが正確な情報を流さずにリスコミをかく乱しているとの批判も多くなっています。

リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容

「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業で付けました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

5月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。トップ10すべてがコロナウイルス関係です。ツイート数は減ったものの、脱コロナはまだまだ先のようです。

順位トピック要約
1コロナ緊急事態宣言の延長がネガティブにとらえられているのはリスコミの失敗
2コロナ政府は毎日各都道府県の実行再計算数のデータを開示すべき
3コロナ専門家会議が直接ではなく間に入ったコミュニケーションの専門家が提言すべき
4コロナ情報発信は難しい
5コロナ次の流行に備えてPCR検査拡充耐性を整えろという提言は流行が収まりつつある今だからこそ
6コロナクラスター発生の病院勤務の看護師とその家族への誹謗中傷はリスコミが機能していないのが原因
7コロナ正確な感染状況を把握しないままでは政府の情報発信に納得できない
8コロナコミュニケーションがまずい人に限ってフィードバックが入らない
9コロナ「37.5度4日間というラインを引いたことと帰国者接触者相談のTELを設けたことはコロナ対策で一番の大手柄」というのは最悪のリスコミ
10コロナリスコミの基本は、データを網羅的にとって、小細工をせず、迅速に透明性をもって、公開すること

1位:緊急事態宣言は当初5/6まででしたがその後延長されて全面解除は5/26になりました。ただし、本ブログに以前書いたように死者数が欧米よりも少ないことから、日本では「コロナは大したことない」論者が徐々に増えてきてネガティブ面が強調され始めましたね。

なぜコロナウイルスのリスクについて「俺は最初から知っていた」論者が後から湧いて出てくるのか?予測のリスク学その2
人の記憶は結果がわかってから「最初からそうだと思っていた」というように都合よく置き換わるバイアスがあります。なので、コロナ対策のように不確実な状況での決定をたまたま成功しても失敗しても必然的に(能力が高い/低いから)そうなった、という評価をしてしまいがちです。

2位、10位:こういう数字をどんどん開示するのは本当に重要だと思います。

3位:上にも書いたようにリスコミは平常時からやっていないと、緊急時だけ突然寄せ集められてもできないんですよね。

6位:これは普通にコンプライアンスの問題でしょう。中傷や風評被害をゼロにするのがリスコミの目的ではありません。

7位:感染状況の把握がこれまでなかったのは問題だと思います。大規模抗体検査の結果が最近になってようやく出てきましたし、下水中コロナウイルスのモニタリングによる早期警戒にも期待できます。

下水が新型コロナ早期警戒システムになる?
<下水汚泥に含まれる新型コロナウイルスのRNAの濃度を調べることで、感染者数や入...

9位:現在の病院の受け入れ態勢を考えると、病院に殺到しないよう水際対策をしたのは一番かどうかはわかりませんが良いことだったと思います。ただ、実際には病院に殺到するのを防ぐのに最も効果が高かったのは、「病院に行くとコロナに感染する」という脅しであったように思います。

まとめ:5月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関するツイート数はコロナウイルスの発生から増大を続けましたが、2020年4月にピークを迎えてその後下がってきました。緊急事態宣言の延長・解除に向けて専門家会議の発信がリスクコミュニケーション的に大きな関心を集めました。

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