2020年12月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果19~

risk202012-cloud SNS定点観測

要約

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年12月の調査結果からは、コロナ感染拡大の中で旅行・温泉・帰省・結婚式などに行ってよいかの判断について、自分と家族等の周りの判断が対立して困っている人が多くいることがわかりました。

本文:12月のリスク

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っているかを調査しています。方法については3月の調査結果をご覧ください。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

本記事では定点調査として12月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析してみました。

Google Trends

Google トレンド

2020年12月の期間内で「リスク」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。ただし12月は3つしか出てきませんでした。

順位キーワードトピック
1リスクヘッジ 意味ビジネス
2温泉 コロナコロナ
3温泉 コロナ リスクコロナ

2位と3位は温泉に行くことによるコロナ感染リスクを知るための検索と想像されます。12月はコロナ感染拡大に伴いGoToトラベル停止などの動きがありましたが、それでも年末年始に温泉に行きたい人がやはり多かったのでしょう。

ちなみに同じ期間で「コロナ」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べたところ、1位は「年賀状 一言 コロナ」でした。何か一言添えなければいけないと思っているけど何を書いたらよいかわからない人が多いということですね。こういうところに情報ニーズがあるというのはなかなか想像つかないことです。

YAHOO!知恵袋

Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス
Yahoo!知恵袋はみんなでつくる便利でうれしい知恵の共有サービス。参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できるサイトです。

2020年12月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1家族関係の悩み保険保険と投資信託が合わさった金融商品のリスクは?
2家族関係の悩みコロナ年末年始に実家に帰省してよいか?
3観光地、行楽地コロナGoToトラベルは何が問題が?個々人が注意すればよいだけでは?
4住宅ローン住宅ローン住宅ローンを組みたいが破産のリスクは?
5マナーコロナなぜサウナではコロナクラスターが発生しないか?
6家族関係の悩みコロナ年末年始に実家に帰省してよいか?
7アダルト不倫不倫したいがどうしたらよいか?
8恋愛相談性行為性行為は女性だけが大きなリスクを背負うのでは?
9家族関係の悩みコロナ結婚式に参加してよいか?
10恋愛相談、人間関係の悩み性行為性行為は女性だけが大きなリスクを背負うのでは?

9月の調査では一旦コロナ関連ワードはゼロとなりましたが、その後の感染拡大とともにまた増えてきており、12月はトップ10のうち5つがコロナ関連となりました。正月に実家に帰省してよいか?GoToしてよいか?結婚式に行ってよいか?などの〇〇してよいかものが多数出てきています。これも先月からと同じ傾向です。回答はやはり「行くべき」「行かないべき」のべき論の応酬で、質問者は自分と同じ意見の回答を見て(違う意見の回答は無視して)安心するという構造です。本来これも公衆衛生的な立場と個人の自由の間の「価値観の対立」なんですよね。

公衆衛生か個人の自由か?その2:皆にPCR検査を受けさせるべきかどうかは価値観の対立である
要約 国民全体の健康のために〇〇すべきという公衆衛生的な視点と個人の自由には価値観の対立が存在します。コロナウイルスのPCR検査についても、無症状の方への検査は推奨されないという公衆衛生的な視点と、検査を受けて安心したいという個人の視点があり、これも価値観の対立であると考えられま...

コロナ関連以外では、住宅ローンや保険商品など、金融に関するものが2つあります。面白いのは、窓口で薦められるままに商品を選んでしまったのに、後で不安になってネットで相談し、ネットでの回答をまた疑いもなく信じてしまうということを繰り返すことです。こんなに大事なことを自分で徹底に調べようとしないことが一番のリスクなのですが。

また、不倫や性行為(性感染症の話ではない)のリスクなどの男女関係ものが3つもあり、高い注目を集めています。これはいつも注目度が高いのですが、リスク評価・管理という文脈ではあまり扱わないテーマなので、「人生リスク」みたいなくくりでそろそろ扱うべきではないかと考えています。

Twitter

https://twitter.com/

2020年12月の間につぶやかれた「リスク」を含む1万ツイートを毎週収集し、リスク関連単語の使用頻度ランキングを作成しました。ワードクラウドと表で表します。

risk202012-cloud
risk202012-rank

こちらの頻出単語トップ40はまだまだコロナ関連と思われる単語が結構並んでいます。表には先月順位との比較を示しており、先月より順位が上がった(もしくは100位以下から新たにランク入り)ものは青(10位以上上がったものは濃い青)、順位が下がったものは赤で塗りつぶしています(10位以上下がったものは濃い赤)。

感染・人・コロナの不動のトップ3は健在で、さらにマスク・医療・重症・ワクチン・検査・ウイルス・病院・患者などのコロナ関連ワードが順位を上げています。代わりに経済関連のワードは順位を下げました。この辺の関係は感染拡大・収束に敏感に反応していることがよくわかります。

次に属性による違いを見ていきます。属性に分けるとよりはっきりと関心の違いが見えてきます。「リスク」を含むツイートの中から、自己紹介欄に「サラリーマン」、「主婦」、「学生」と書いてあるツイートをさらに抽出してワードクラウドを比較してみると以下のようになります。

risk202012-job

属性別ではコロナ関連のワードは少なくなる傾向がありますが、今月もその傾向自体は見られるもののやはりコロナ関連の文字は大きくなっています。サラリーマンは「投資」、主婦は「人」、学生は「意識」がトップで、サラリーマンと学生はいつもの通りです。主婦は「家族・旦那・夫・子供・子」や「妊娠・流産」など家族や出産に関するワードが多く入っていることが特徴的ですね(サラリーマンにも家族がいるはずだが。。。)。このように、属性によってリスクの捉え方が大きく違っており、例えば夫婦の間でも旅行・帰省などの可否判断が違うため、YAHOO!知恵袋で出てくるような悩み事が増えるものと考えられます。

ニュースとブログ

2020年6月からNewsAPIというツールを使って「リスク」に関するニュースやブログのウオッチを開始し、8月からはYAHOOニュースについて定点観測を続けています。NewsAPIについての説明は6月の調査結果をご覧ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2020年12月は67件の「リスク」を含むニュースがYAHOOから配信されました。これらの要約のテキストマイニングから得られたワードクラウドと、ツイッターとの単語頻度ランキングの比較を以下に示します。

risk202012-news
risk202012-newsrank

ニュースではツイッターに比べるとコロナ関連が圧倒的です。先月と同様に「新型」「コロナ」「ウイルス」「感染」だけが異常に大きく、他の単語がもう見えにくくなってしまいます。GoToトラベル停止など、コロナ関連でもいろいろなニュースがありましたし、それ以外のリスクもあるはずなのですが、全く目立ちません。

ツイッターとの違いで見ていくと、会食の扱いがかなり大きくなっています。菅総理の会食など、とにかく会食が叩かれた12月だと言えます。トラベルよりもイートがマズイのは間違いないのですけどね。あとは年末年始の帰省(による感染拡大)についても大きく取り上げられています。

まとめ:12月のリスク

12月のリスクの解析の結果、感染拡大に伴って年末年始の行動の可否判断に困っている人が多いことがわかりました。旅行(温泉など)に行ってよいか、帰省してよいか、結婚式に行ってよいか、などで、特に自分の判断と家族・親族・職場などの周りの判断が対立することが多いことが問題を大きくしています。これはツイッターを属性別で解析すると見事にリスクの捉え方が違っていることからも裏打ちされています。

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