2023年10~2024年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果30~

news SNS定点観測

要約

Google検索履歴やYAHOO!知恵袋、News APIを用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2023年度下半期(10~3月)の調査の結果、AI関連は高い注目を集め続けていますが、大災害となった能登半島地震はトレンドに入ってきませんでした。

本文:2023年10月~2024年3月のリスク

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っていたりするかを調査しています。方法については2020年3月の調査結果をご覧ください。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

ただし、2023年3月でTwitterのAPIを使用したデータを収集ができなくなり、解析もストップしています。

2023年10月~2024年3月の期間のリスクに関するトピックは、まずは能登半島地震が挙げられるでしょう。他には、新NISA制度の開始、芸能人の性加害事件、日本人大リーガー通訳によるギャンブル依存などがニュースとして大きく取り上げられました。

本記事では、定点調査として2023年10月~2024年3月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析した結果を報告します。以前は月ごとにまとめて報告していましたが、現在は半年に一度報告しています。

Google Trends

Google トレンド

2023年10月~2024年3月の期間内で「リスク」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。

順位キーワードトピック
1リスクオブレイン リターンズゲーム
2サイドオーダー ハイリスク ハイリターンゲーム
3ユーラシアグループ 10大リスク 2024リスク一般
4リスクオブレイン リターンズ 攻略ゲーム
5エコペトロール リスク金融
6ユーラシアグループ 10大リスクリスク一般
7オルカン金融
8オルカン 為替 リスク金融
9オルカン リスク金融
10新nisa リスク金融

「リスクオブレイン」はよくトレンドに登場するゲームです。「サイドオーダー ハイリスク ハイリターン」もスプラトゥーンというゲームの用語です。

米国の調査会社であるユーラシアグループは2024年の10大リスクを発表しました。1位は米国の政治的分断(米国の敵は米国)、2位はイスラエルとハマスの衝突(瀬戸際に立つ中東)、3位はウクライナ情勢(ウクライナ分割)でした。

米調査会社、2024年の10大リスク発表、最大リスクは米国の政治的分断(イエメン、中国、日本、米国、ロシア、イスラエル、ウクライナ) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース

エコペトロールは、コロンビアの政府系総合石油会社で、配当利回り20%以上という数字が注目を集めたようです。

利回り20%のエコペトロールはリスク高い?配当推移や買い方を解説|いろはにマネー
配当利回り20%超えのエコペトロールについて、配当の推移やNISA口座での買い方を紹介。Xでの実際の評判や、株価・業績の面からリスクについても解説します。

「オルカン」は2024年から始まった新NISAで人気を集めている投資信託商品です。オルカンは「オールカントリー」の略で、これ一つで世界中の株式に分散投資が可能です。

意外にも能登半島地震をはじめ災害関連のワードは出てきませんでした。

YAHOO!知恵袋

Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス
Yahoo!知恵袋はみんなでつくる便利でうれしい知恵の共有サービス。参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できるサイトです。

2023年10月~2024年3月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1恋愛相談、人間関係の悩み住宅ローン身の丈に合わない家を買うために無理して住宅ローンを組むべきか
2法律相談芸能性加害のニュースについて、真偽が不明な情報を拡散するのは名誉棄損のリスクがあるのでは?
3株式投資投資詐欺にあったがどうすればよいか?
4事件、事故ギャンブル水原一平氏の賭博について、なぜそのようなリスクを犯したのか?
5飲食店経営食べ放題の店で食べすぎたら激怒されたニュースについてどう思うか?食べ放題は店にとってリスクでは?
6お笑い芸人芸能松本人志氏の裁判で「スポンサー離れ」のリスクがあるが、今後どうなるか?
7子育ての悩み医療母乳育児で胸の張りが耐えられないほど痛いが薬で母乳を止めるべきか?
8中古車中古車高い車を買うと盗難のリスクが高いのでは?
9お笑い芸人芸能松本人志氏の件で、週刊誌で告発した女性はそこへ行くリスクを考えなかったのか?
10資産運用、投資信託、NISA投資新NISAでハイリスク・ハイリターンの投資信託商品は何か?

「人生選択リスク」に関するトピックが多くなっています。今回は住宅ローンを組むべきか、薬を飲むべきか、高い車を買うべきか、新NISAでどの商品に投資するか、などでした。コロナ関係がランクインしなくなってからはこのような人生選択リスクが多くを占めています。

他には性加害事件やギャンブル依存も目立ちました。また、ここでも能登半島地震など災害関連は出てきませんでした。

ニュース

NewsAPIというツールを使って、タイトル中に「リスク」を含むニュースやブログをウオッチしています。NewsAPIについての説明は過去の調査結果をご覧ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2023年10月~2024年3月の間にタイトル中に「リスク」を含むニュースを891件収集しました。収集したタイトル中の単語頻度ランキングの月ごとの推移をまとめました。また、注目すべきワードは背景色を付けてみました。

2022年度までの解析では「コロナ」や「ワクチン」がそれなりの頻度でランクインしていましたが、2023年度後半ではあまりランクインしなくなりました。特に「ワクチン」の単語はパタリと消えてしまいました。

「生成」「AI」は2022年度下半期からランクインするようになりましたが、毎月ランクインする結果となり、今期も最も目立つ存在になりました。今最も注目すべきリスクはAIであるとみなせます。

前期に引き続いて、「株式会社」○○は△△のリスクを評価する「サービス」の「提供」を「開始」しました、的なニュースが結構目立っています。リスク診断サービスやリスク管理コンサルなどのサービスが増加しているようです。

2023年10-12月にかけて「投資」「株式」「試算」「金利」などの投資関連のワードがランクインしています。これは2024年から新NISA制度が開始されたことと関係がありそうです。1月に入ってからパタリとなくなるのも興味深いですね。

他には1月~2月に「ストロング系チューハイでがんが増加」「ビールロング缶1本で大腸がんが増加」などのニュースが増えました。これは厚生労働省が飲酒ガイドラインを公開したことと関連しています。ASCOは米国臨床腫瘍学会のことで、やはりアルコールによるがんリスクの上昇について声明を出しています。この辺は本ブログでも解説を書いています。

飲酒(アルコール)のリスクその1:飲酒ガイドラインの男性40g/日・女性20g/日の根拠は謎だらけ
生活習慣病のリスクを高める飲酒量として男性40g/日・女性20g/日という数字を示した飲酒ガイドラインの内容を紹介(実際には飲酒量の基準を示したものではない!)し、男性40g/日・女性20g/日はどこから出てきた数字なのかの謎を解き明かします。
飲酒(アルコール)のリスクその2:アルコール摂取量と死亡率の関係
飲酒ガイドラインの目安量(男性40g/日、女性20g/日)と比較して日本人の飲酒量はどれくらいか?、アルコール摂取量と死亡率に関するJ型カーブの謎(なぜまったく飲まない人よりも多少飲む人のほうが死亡率が低くなるのか)、お酒の種類や休肝日の影響について調べた結果、をそれぞれまとめました。

ニュースの解析でも能登半島地震関連は出てきませんでした。2024年1月24位にやっと「地震」が出てくるのみで、2-3月にはもう出てこなくなるのです。

気になったニュース

上記で収集したニュース記事の中から私が特に興味をひかれたものを以下にリスト化します。

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1コンタクトスポーツによる脳損傷リスクを減らすために。若手選手の家族や専門家が動き出したhttps://wired.jp/article/serious-brain-trauma-starts-well-before-young-athletes-go-pro/
2株式会社サリバテック【がんリスク検査】だ液×Aiで叶える新時代のリスク検査「サリバチェッカー」新ECサービス開始!https://japan.cnet.com/release/30904059/
3犬用に続き、待望の猫用サービス開始 “愛猫用”線虫がん検査「N-NOSE® ねこちゃん」専用サイトが本日オープンhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000090131.html
4株式会社 TAM株式会社TAM SNSの炎上リスク対策ツール「炎上チェッカー」を開発https://japan.cnet.com/release/30916392/
5謝罪会見の練習に年延べ200社 広がるリスク、会社の存続に直結https://www.asahi.com/articles/ASRDX63QLRDTUTIL03Z.html
6OpenAI社が年明け早々にリリースした「GPTストア」…次々に登場する「バーチャル・ガールフレンド」のリスクとはhttps://gendai.media/articles/-/122944
7生成AIめぐるリスク 政府の研究機関が14日に設立へhttps://www3.nhk.or.jp/news/html/20240208/k10014352191000.html
8気候変動問題への約束がリスクに? 米金融大手、相次ぐ手のひら返しhttps://www.asahi.com/articles/ASS2R5DRXS2RDIFI001.html
9“「偽情報」が最も深刻なリスクに”「ダボス会議」前に報告書https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240111/k10014317071000.html
10食品の放射性物質検査、6割超が「知らない」。消費者庁調査、福島産ためらうは過去最少にhttps://www.huffingtonpost.jp/entry/shouhishachou-chousa_jp_65ed7979e4b05ec1ccda6ae6

1はコンタクトスポーツの選手の症例が多い慢性外傷性脳症(CTE)についてのニュースで、記憶障害や抑うつ、感情調整不全といった症状につながります。サッカーのヘディングなどもリスクがあります。最近は「走らないサッカー」などもあり、①走ってはいけない②ボールを高く蹴ってはいけない③選手同士の接触やヘディングは禁止、などのルールがあるようです。

「走らないサッカー」人気快走中 けがのリスク減、世代超え楽しめる:朝日新聞デジタル
走らないサッカー「ウォーキングフットボール」が兵庫県内で少しずつ広がっている。体の接触がないため、けがの心配が少なく、子どもからお年寄りまで一緒にプレーできる。身近な生涯スポーツとして定着させようと…

2~5はリスクに関するサービスです。最近2と3のような診断サービスが増えていますが、今のところあまりあてにしないほうがよさそうです。5は危機管理広報会社が行っている研修サービスですね。

6と7はAI関連です。「イライザ事件」は、あるベルギー人男性がAIチャットボット「イライザ」から「天国で一緒に生きましょう」などと言われて自殺した事件です。7は日本で設立された「AIセーフティ・インスティテュート(AISI)」のことです。

AISI | Japan AI Safety Institute -
AI Safety Institute

まとめ:2023年10月~2024年3月のリスク

2023年度下半期(10~3月)の「リスク」のトレンドを解析した結果、能登半島地震があったにもかかわらず「リスク」のトレンドには入っていないことがわかりました。AI関連は高い注目を集め続けており、他にも新NISA制度の開始、性加害事件、ギャンブル依存などがトレンドに入っています。

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