基準値問題

基準値問題

有機フッ素化合物PFASのリスクその1:米国のPFOS・PFOAの規制強化の根拠は免疫力の低下

世界的な規制強化の流れにある有機フッ素化合物PFASについて複数回にわたり解説します。その1では、PFOS・PFOAの米国の飲料水新基準値案に焦点をあてて解説します。有害性評価ではワクチン抗体価の減少というあまり見なれないエンドポイントを採用しています。
化学物質

残留農薬基準値の決め方その4:「ADIを超えないように」決めた目安残留濃度の一覧(587農薬)を作りました

残留農薬基準は「農薬を正しく使用しているかどうか」という農業規範としての基準であり、健康影響に関係する基準ではないため複雑怪奇になっています。そこで「ADI(許容一日摂取量)を超えないように」計算した健康影響に関する目安残留濃度の一覧(587農薬)を紹介します。
基準値問題

ソーシャルディスタンスのからくり4:スパコン富岳が示す距離1mの効果

ソーシャルディスタンスが感染予防に効果的であることが、スパコン富岳による飛沫の飛散シミュレーションによって示されています。一連のシミュレーションを総合すると「マスクなしなら2m、マスクありなら1m」となり、これまでの日本のソーシャルディスタンスの基準と一致することがわかりました。
化学物質

農薬の残留基準値を超過した際に健康影響を判断するための3つのステップ

農薬の残留基準値を超過したニュースを例に、健康影響を判断するステップとして以下の3つを紹介します。 1.農薬評価書を活用して農薬の毒性、無影響量などを調べる 2.影響が出るまでどの程度その食品を食べる必要があるのかを計算する 3.リスクを評価し、そのリスクが受け入れられるかどうかを考える 「基準値の〇〇倍!」という数字から判断できることはほとんどないことがわかります。
基準値問題

公衆衛生か個人の自由か?その1:コロナ相談・受診の目安(37.5度以上が4日間続く)のからくり

コロナ相談・受診の目安(37.5度以上が4日間続く)は、医療崩壊を防ぐために設定された基準ですが、一方で個人の自由を制限するというジレンマもあります。この基準がどのように誕生して、その後どのよう消えたのかについて調べました。公衆衛生か個人の自由かという議論は明示的にはありませんでした。
基準値問題

台風の基準は「小枝が折れ、風に向かうと歩けない」―typhoonやハリケーンとの違いは何か?

台風の基準はビューフォート風力階級という風力の12段階の尺度の8(小枝が折れ、風に向かうと歩けない。)以上となっています。これに相当する風速が17.2m/sなので中途半端な数字になっているわけです。また、typhoon、ハリケーン、サイクロンは日本の強い台風、つまり風力階級12以上に相当し、地域によって呼び名が変わります。
基準値問題

過労死ラインの基準値のからくり:労働時間ではなく睡眠時間から決まった基準値

過労死ラインと呼ばれる労災の認定基準について、一か月の時間外労働45, 80, 100時間という基準値があります。睡眠時間の不足(一日6時間未満)が健康に影響をもたらすという科学的知見から、月に100時間残業すると5時間の睡眠しかとれず、80時間では6時間の睡眠、45時間では最も健康的とされる7-8時間の睡眠をとることができるという計算が根拠となりました。
身近なリスク

「化学物質による水域汚染→水道の断水→熱中症」の連鎖は起こりうるのか?化学物質と熱中症のリスクを比較する

2012年に発生した水道水中ホルムアルデヒド基準値超過による大規模断水事故の事例を紹介します。幸いにして「化学物質による水域汚染->水道の断水->熱中症」の連鎖は起こりませんでしたが、真夏にこの事故が起こった場合は熱中症のリスクが化学物質によるリスクを上回ることが懸念されます。
基準値問題

有機フッ素化合物PFOS・PFOAのリスクはどのくらい高いか?その1:世界一厳しい日本の基準値のからくり

PFOS・PFOAは最近になり日本で水道水や環境水での目標値・指針値(基準値的なもの)が50ng/Lと策定されました。一方世界各国では70~10000ng/Lまで幅があり、日本が世界一厳しくなっています。無影響とされる量や基準値を決める際の仮定の組み合わせによりこのような差が出てきます。
基準値問題

職場でのコロナ対策は自粛が開けてからが本番。発熱等疑わしい症状から職場復帰するまで何日必要か?

発熱等コロナウイルス感染症を疑う症状があった場合、職場に復帰するには陰性証明をもらう必要はありません。症状後8日かつ症状消失後3日経過後という目安が示されています。これはコロナウイルスの感染力の持続性が根拠となっています。