化学物質

その他

環境科学への違和感の正体~科学と社会運動の混在

危険をあおるほどインパクトファクターの高い科学雑誌に論文が掲載されやすい、という近年の環境科学に対するへの違和感の正体について、(1)科学と社会運動(〇〇すべき)の混在、(2)「リスクを減らしたい」ではなく「悪いものに罰を与えたい」という感情、(3)「正しさ」の押し付け、という3つの視点から整理しました。
化学物質

除草剤グリホサートの健康影響その4:発がん性物質の受け入れられるリスクレベル

グリホサートのように発がん性ありなしの論争を続けるよりも、発がんリスクの大きさを評価してそれが十分に小さいかどうかを判断したほうがよい場合があります。リスクが十分低く安全と言えるのかどうか?という問いに答えるための方法・考え方について解説します。
化学物質

除草剤グリホサートの健康影響その3:グリホサートの発がんリスクの大きさはどれくらいか?

農薬の発がん性は科学的に完全な白黒がつくものではないため、発がん性あるなしの禅問答は尽きません。その禅問答から抜け出すには、発がん性があると仮定してそのリスクを計算することが有用です。除草剤グリホサートを例に発がんリスクを計算する方法を解説します。
化学物質

除草剤グリホサートの健康影響その2:農薬の疫学調査はなぜ難しいのか?

グリホサートの発がん性の根拠とされている疫学調査のメタアナリシスを事例に、農薬の疫学調査はなぜ難しいのか?を解説します。農薬の疫学研究が難しいのは、農薬の曝露量の推定が難しいことが一番の理由です。結果として、信頼性の低い研究を積み上げたメタアナリシスの信頼性もまた低いということになります。
化学物質

除草剤グリホサートの健康影響その1:尿中から検出された際の健康影響の判断方法

食品中農薬濃度の残留基準値超過は定期的にニュースになりますが、最近では尿中から農薬が検出されたというニュースも目にします。このようなニュースの読み解き方の解説として、除草剤のグリホサートを例に摂取量への換算方法やリスク評価について説明します。
リスクガバナンス

リスク評価はファクトではないその2~純粋科学とレギュラトリーサイエンスの考え方の違い~

日焼け止めで淡水生態系は致命的な影響を受けるのか?というテーマから、ファクトを追及することを目的とする純粋科学と、意思決定の判断材料を提示することを目的とするレギュラトリーサイエンスの考え方の違いを解説します。例えば純粋科学では日焼け止め成分をミジンコに曝露させたら死んだというファクトを重視しますが、レギュラトリーサイエンスではミジンコに対する無影響レベルはどれくらいかを重視します。
リスクガバナンス

リスク評価はファクトではない~断片的なファクトから問題解決につなげる作法~

リスク評価はファクトではなく、むしろ「ファクトがわかってからでは遅すぎる」という問題に対応するための作法と言えます。断片的なファクトを最大限有効に活用して、知見が欠けている部分は推定や仮定を置いて穴埋めし、政策などの意思決定の根拠として活用できるようにしたものです。
化学物質

マイクロプラスチック問題その3:被覆肥料カプセルの問題はリスクの問題ではない

被覆肥料のプラスチックカプセルの問題について、リスクの視点から全体像を整理しました。被覆肥料由来のマイクロプラスチックの排出は全体の1%以下であり、マイクロプラスチックの生態リスクは現状で懸念レベル以下であることから、リスクの問題というよりはごみ問題として考えるべきです。
化学物質

コロナ治療・予防薬としてのイベルメクチンのリスク評価から学ぶ毒性情報の読み方のポイント

コロナ治療・予防薬としてイベルメクチンを服用することについて、特に妊婦は胎児の催奇形性があるのでダメ、という警告が発せられています。実際にこの催奇形性のリスクはどの程度かを知るためにリスク評価を行いました。毒性情報の読み方のポイントを示しながら解説します。
化学物質

みどりの食糧システム戦略における「化学農薬(リスク換算)50%減」を解説します

農林水産省の「みどりの食糧システム戦略」では、2050年までに化学農薬の使用量をリスク換算で50%減という政策目標を打ち立てました。このリスク換算の方法として、毒性の強さを示すADI(許容一日摂取量)を使ってリスク係数を求めて使用量を重みづけしていく方向性が出されました。