2020年5月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果5~

risk202005-cloud SNS定点観測

要約

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年5月の調査結果からは、緊急事態宣言の解除から一気にではなくゆっくりと日常に戻っていく途中にあることがうかがわれ、引き続きコロナウイルスに関連する情報(職業別感染リスク、各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準)に高いニーズがあることがわかります。

本文

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っているかを調査しています。方法については3月の調査結果をご覧ください。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

本記事では定点調査として5月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析してみました。

Google Trends

https://trends.google.co.jp/trends/

2020年5月の期間内で「リスク」と共にどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。

順位キーワードトピック
1化学物質 リスクアセスメント化学物質
2美容室 コロナ 感染 リスクコロナ
3せん妄 ハイリスク 患者 ケア 加算医療
4不動産 投資 リスク金融
5リスクマネジメント とはリスク一般
6美容院 コロナ 感染 リスクコロナ
7リスクオン とは金融
8無痛 分娩 リスク妊娠・出産

先月の調査ではトップ10のうち7つがコロナウイルス関連でしたが、2020年5月では注目キーワードは8つしかなく、そのうち2つがコロナウイルス関連でした。先月も理髪店の感染リスクが上位に来ており、美容室・美容院の感染リスクは客というよりは職業としての感染リスクを調べたかったと考えられます。ただ、コロナに関する検索ニーズは徐々に下がってきているといってよいでしょう。他は化学物質、医療、投資、妊娠・出産のキーワードが出てきており、日常生活に徐々に戻っていることをうかがわせますね。

YAHOO!知恵袋

https://chiebukuro.yahoo.co.jp/

2020年5月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1家族関係の悩みコロナコロナなのに旅行ギフト券の期限延期が認められない
2家族関係の悩みコロナゴルフに行ってよいか
3法律相談コロナ営業自粛しないパチンコ店名の公表の意味は?
4家族関係の悩み性、不正・不法行為旦那に盗撮癖があるがどうしたらよいか
5政治、社会問題コロナ5月6日での非常事態宣言解除は困難
6政治、社会問題コロナ理容室や美容院に行ってよいか
7バラエティ、お笑いサイバーリスクネットの誹謗中傷で自殺するくらいならテレビに出るのをやめればよいのでは
8健康、病気、病院コロナ外食してもよいか
9友人関係の悩みコロナ結婚式に行ってよいか
10男性アイドル芸能推しのアイドルにアンチが増えるのが精神的に辛い

先月はトップ10のうち9つがコロナウイルス関係の質問でしたが、2020年5月はトップ10のうち7つがコロナウイルス関係の質問でした。こちらも減りつつありますがそれでもまだまだコロナウイルス関連が多くなっていますね。

コロナ関連の内容をみると、先月に引き続き、ゴルフや外食、結婚式に行ってよいか、などの行動の可否を問う質問(「○○しても大丈夫か?」もの)が多くありました。様々な行動の可否の判断基準の情報のニーズはまだまだ高いようです。結婚式についてはジューンブライドの時期を迎え、泣く泣く延期した人と決行する人に大きく分かれているようです。自分たちは高いお金を払って延期したのに、決行する人から招待状が来てモヤモヤしている人もいます。3~4月に引き続きの傾向ですが、リスク情報に対する感受性(不安に思うか大丈夫と思うか)の個人差が非常に大きく、出かけたくてうずうずしているという人と、一切外へ出てはだめだ(自分もほかの人も)という人に二分されている様子がうかがえます。

確定申告など公的なサービスは期限が延長されているものが多く、私個人的にも車検の期限(5月頭だった)が延長されて大変助かりました。ただ、民間が発行する旅行ギフト券の期限延期が認められないなど細かいトラブルはあるようですね。

コロナ以外になると、性関連、不正不法行為関連やネット誹謗中傷のトピックがあり、これは以前に本ブログで書いた「身近で見過ごされてきたリスク」と整理できます。リアルでは表に出にくい(言いにくい)ことがネットでは浮かび上がってきます。

サイバーリスクは情報流出や不正アクセスだけではない!身近で見過ごされてきたサイバーリスクにコロナウイルスが焦点をあてる
コロナウイルス感染拡大防止のため自粛生活が長引くとサイバーリスクが増加します。サイバーリスクといえば情報流出や不正アクセスをイメージしますが、統計を見ていくと実は児童買春や児童ポルノをはじめとする性に関するものが非常に多くなっています。

Twitter

https://twitter.com/

2020年5月の間につぶやかれた「リスク」を含む1万ツイートを毎週収集し、リスク関連単語の使用頻度ランキングを作成しました。ワードクラウドと表で表します。

risk202005-cloud
risk202005-rank

頻出単語トップ40はまだまだコロナ関連と思われる単語が並んでいます。3~4月と大きく変わらず「リスク」を含むツイートはほぼほぼコロナウイルス関連で埋め尽くされていることがうかがえます。表には先月順位との比較を示しており、先月より順位が上がった(もしくは100位以下から新たにランク入り)ものは青(10位以上上がったものは濃い青)、順位が下がったものは赤で塗りつぶしています(10位以上下がったものは濃い赤)。

学校、再開、解除など、緊急事態から解除に関する単語のランクが急上昇しています。自粛、マスク、ウイルスなどの単語はランクを下げました。経済、投資などの単語もランクが上がっており、日常に近づきつつあることがうかがえます(コロナ以前は「リスク」を含むツイートはほぼほぼ投資関係で埋め尽くされます)。

まとめ

5月のリスクの解析では3~4月に比べると若干コロナウイルス関連が減ってきましたが、まだまだ主要な部分を占めています。職業別感染リスク、各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがあります。緊急遺体宣言が解除されても一気に元に戻るわけではなく、リスクの低い行為から徐々に戻していこうという流れを感じます。

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