2020年8月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果12~

twitter SNS定点観測

要約

リスクコミュニケーションに関するツイートを解析しています。リスコミに関するツイート数は減少を続けており、コロナによる緊急事態から平常時に戻りつつあります。内容としては、大阪府吉村知事によるうがい薬でコロナ対策に関するものなどがありました。

本文:8月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関する一般の動向を探るため、ツイッター上で「リスクコミュニケーション」、もしくはその略称である「リスコミ」を含む発言を収集して解析しています。これまでのsns定点観測結果はこちらにあります。

SNS定点観測
「SNS定点観測」の記事一覧です。

本記事では2020年8月のツイートを解析した結果を報告します。発言数の経時変化、使用頻度の高い単語、「いいね」数トップ10ツイートの順に見ていきます。最後にニュース・ブログ記事の解析結果も付け加えます。

リスクコミュニケーションに関するツイート数の経時変化

まずは2020年8月分を含めたツイート数の変化と、ツイート数+リツイート数までを含めたツイートの広がりの数の推移を下図に示します。

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新型コロナウイルスによるコロナ禍が始まるまでは月に100件程度であったリスコミ関係ツイートは、1月以降上昇を続けて4月にピークに達しましたが、7月の感染急拡大も関係なく5月以降は減少傾向が続いており、8月も同様に減少しました。

リツイートも含めたツイートの広がりはさらに大きく減少しており、8月は7月の半分以下まで減っています。世間のリスクコミュニケーションに関する興味は急速に失われています。急速に増えだしたリスコミ論者は一体どこへ行ったのでしょう?(どこに興味を移したのでしょう?)

リスクコミュニケーションに関するツイート内の単語の使用頻度

次に、使用頻度の高い単語トップ50単語(リスク、コミュニケーション、リスコミの3つを除いています)をワードクラウドにまとめてみました。

risukomi2008

トップは解析を始めて以来6か月連続で「専門」です。専門家会議の後継のコロナ分科会では委員のメンバーが前面に出てくることはほとんどなくなりました。厚労省のアドバイザリーボードやAIアドバイザリーボードなどほかの会議の議論の報告が多くを占めているように見えます。

新型インフルエンザ等対策有識者会議|内閣官房ホームページ
新型インフルエンザ等対策の円滑な推進のため、新型インフルエンザ等対策閣僚会議の下に、新型インフルエンザ等対策有識者会議(以下「有識者会議」といいます。)を開催します。有識者会議の下に、基本的対処方針等諮問委員会を開催します。有識者会議は医療・公衆衛生に関する分科会及び社会機能に関する分科会を開催します。

コロナウイルスに関しては初期のような「わからない度」がだいぶ減ってきているので、少数の専門家が缶詰で議論して結論を出す、というような場面ではなくなってきたのかもしれません。

個人名では、これまで西村大臣や西浦教授、岩田教授などの名前が挙がってきましたが、今月は吉村大阪府知事の名前がランクインしました。2020年8月4日に、吉村知事がポピヨンヨードを含むうがい薬にコロナウイルス感染防止効果があるとの発表をしました。これによって例のごとくドラッグストアからうがい薬が消え、科学的根拠が弱いのではないかとの批判が相次ぎました。これはEBPM(evidence based policy making)の議論の良い教材になりそうですね。これについては別の機会に詳しく書いてみたいと思います。

また、これまでにランク入りしていなかった食品や化学物質の単語がランクインしてきました。リスコミもコロナ一辺倒から徐々に平常時に戻ってきているのかもしれません。

リスクコミュニケーションに関するトップ10ツイートの内容

「いいね(fav、ふぁぼ)」が多かったトップ10ツイートを抽出し、トピックと要約を手作業でつけました。いいねがたくさんついたツイートほど、多数の人が共感を得たツイートであると考えられます。これを見ていくことでリスクコミュニケーションのヒントが得られるかもしれません。

8月のリスクコミュニケーショントップ10ツイートの要約は以下の通りです。トップ10のうち、7つがコロナウイルス関係と、先月までトップ10すべてがコロナ関連で埋まっていた状況から変わってきました。

順位トピック要約
1リスコミ一般リスクゼロはやってこないというのがリスコミの話
2コロナリスクコミュニケーションは感染症の専門家ではなく、世論を専門とする人の領域
3食品添加物味の素のリスコミイベントはがっかり
4コロナリスコミのあり方を書いた論文が掲載
5ワクチン「百万回のハグよりも2回のワクチンを」という厚労省のコピーはひどい
6コロナ感染者が出た施設名の公表はリスコミに役立つということは間違い
7コロナ優先順位の話(詳細不明)
8コロナリスクコミュニケーションは政治家とメディアの共同作業
9コロナ先に結論ありきで都合の良い情報収集をするのはリスコミを間違わせる
10コロナリスコミ機能を持つ新たな専門家組織が必要

以前よくあった「〇〇はリスコミぶち壊し」などの強い否定のツイートは少なくなったような気がします。というよりもトップ10に出てくる人がだいぶ入れ替わりました。ブームに乗っていろんな畑を荒らす人(強い否定で感情を揺さぶり、いいねやリツイート数を稼ぐ人)はリスコミ否定に飽きて去っていったということでしょうか。

6番目、感染者が出た施設名の公表はだいぶ少なくなってきた印象ですが、学校などだけはなぜかすぐに公表されて謝罪に追い込まれますね。COCOAや前回紹介した茨城県のアマビエちゃんのようなシステムがあれば公表する必要がないでしょうね。正義を振りかざして悪(感染した人・組織)を罰したい人が騒いでいる印象です。

ニュースとブログ記事

NwesAPIを用いたニュースとブログの分析も行いました。方法については以前の記事を参照ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

8月の「リスクコミュニケーション」を含むニュース・ブログ記事は6件と、7月の6件と同じです。この程度の数が続いていくのでしょうか。ドメイン名から見るとニュースが4件、ブログ(blogos)が2件です。得られた6件の記事のタイトルのみを表にして示します。

タイトルソース
GO TO トラベル:東京除外を解除すべし~ 感染原因は移動にあらず、リスク低減策の甘さにあり~ – 山崎 毅(食の安全と安心)Blogos.com
報道の傾向が変わってきた 日本におけるリスクコミュニケーション – 中村ゆきつぐBlogos.com
今こそ必要なもの。それは、「リスクコミュニケーション」(鈴木崇弘)Yahoo.co.jp
危機を好転するコミュニケーションスキルが学べる日本リスクコミュニケーション協会が「RC技能認定第一種」を2020年8月4日(火)より講座受付開始 あわせて開講記念ウェビナー開催決定!Prtimes.jp
危機を好転するコミュニケーションスキルが学べる日本リスクコミュニケーション協会が「RC技能認定第一種」を2020年8月4日(火)より講座受付開始 あわせて開講記念ウェビナー開催決定!Osdn.jp
一般社団法人日本リスクコミュニケーション協会危機を好転するコミュニケーションスキルが学べる日本リスクコミュニケーション協会が「RC技能認定第一種」を2020年8月4日(火)より講座受付開始 あわせて開講記念ウェビナー開催決定!CNET

最初の記事はマスク・手洗い・消毒でコロナにかからない、ということを強調しすぎですね。コロナ自己責任論を助長すると思います。2番目はスウェーデンのリスコミ(ブレずにリーダーシップを発揮することが重要)に関する記事です。

3~6番目の記事はタイトルも様々ですがすべて同じ内容(日本リスクコミュニケーション協会がRC技能認定第一種講座を開始)の記事です。先月からこの協会のニュースが増えてきていますね。リスコミの人材育成は今まで日本ではなかったものなので注目してみたいと思います。

まとめ:8月のリスクコミュニケーション

リスクコミュニケーションに関するツイート数は減少を続けており、コロナによる緊急事態から平常時に戻りつつあるように見えます。トピックとしては大阪府吉村知事によるうがい薬でコロナ対策が話題になりました。ニュースでは日本リスクコミュニケーション協会に関するものが多くなっています。

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