2023年に入り、新型コロナウイルス感染症は5類感染症に移行し、さまざまな制限の緩和とともに国による各種支援もなくなってきています。
毎日の「今日の陽性者数」の発表もなくなり目に見えなくなりつつありますが、ウイルスが消えたわけではなく、かなり感染者が増えている地域もあります。
それでも世間の関心はもう下がりっぱなしであり、本ブログにおいても書き続けてきたコロナウイルス関連の記事もあまり読まれなくなりました。
タイミングとしては、これまでに行った各種コロナウイルス対策の費用と効果などを検証するべき時に来ていると思います。
本ブログでは特にコロナウイルスに関する各種線引き問題に注目してきましたので、それをここで「まとめ記事」として一覧にしておきたいと思います。
ソーシャルディスタンスの距離は、ニュージーランドとイギリスで2m、米国では1.8m、オーストラリアで1.5m、シンガポールで1mです。日本ではマスクなしで2m、マスクありで1mです。なぜこのような距離になっているのかという「からくり」を書いた記事です。
たいした根拠のなかったソーシャルディスタンスの距離の数字が、スパコン富岳による飛沫の飛散シミュレーションによってそれなりにいい線言っていることが明らかとなりました。このように根拠が後付けされることは基準値あるあるです。
コロナウイルス対策に関しては「医療崩壊が起こること」が許容できないリスクとみなされ、都道府県ごとに異なる状況にあわせて独自の基準が出された状況をまとめました。また、「安全=許容できないリスクのないこと」という定義も同時に解説しています。
発熱等の疑う症状があった場合、職場に復帰するまで「症状後8日かつ症状消失後3日経過後」という目安が示されました。これはコロナウイルスの感染力の持続性が根拠となっていますが、これがわずか数人のサンプルの結果で決まっていることなどを書きました。
コロナ相談・受診の目安(37.5度以上が4日間続く)の設定根拠についてまとめました。蓮舫議員の指摘をきっかけとする国会答弁の内容をふまえて、「4日間」の意味が当初の「受診を4日間我慢しろ」から「4日経過したら必ず受診せよ」に変更されたいきさつは大変興味深いです。
コロナ対策としての換気の基準値CO2-1000ppmは、感染防止についてのエビデンスはなく、もとは体臭濃度を許容できるレベルに保つために必要な換気量として提案された数字がベースとなっている、という衝撃の根拠をまとめました。
コロナ感染者が出た際に濃厚接触者(15分以上の接触者)の認定を避けるため、接触を15分以内に抑えるというトンデモルールが各所で実施されていましたが、そもそもの「15分ルール」は、米国の刑務官とコロナに感染した受刑者との接触時間(合計17分の接触)がエビデンスとして挙げられていることなどを整理しました。
コロナは飛沫感染なのか空気感染なのか?という議論をよく見かけましたが、飛沫感染・飛沫核感染・マイクロ飛沫感染・エアロゾル感染・空気感染などのややこしい線引きについて整理したところ、そもそも日本と海外では定義が異なっており、これが議論のかみ合わない理由だったのです。
本記事はまとめ記事として、ブログのトップページに貼り付けます。
また、8記事ありますのでそれぞれを一つの章に見立てれば、「基準値のからくり~コロナウイルス対策編~」のような題で書籍化にするのにちょうどよいボリュームのコンテンツになっています。しかも、コロナウイルス対策の事例を通してリスク学の基礎を学べる内容になっています。
書籍化についてご興味を持たれましたらぜひご連絡いただけますようお待ちしています。
前著「基準値のからくり」
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