2025年4~2025年9月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果33~

news SNS定点観測

要約

Google検索履歴やYAHOO!知恵袋、News APIを用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2025年度上半期(4~9月)の調査結果から、AI関連のリスクと、トランプ大統領による関税の問題が引き続きトレンドに入っています。

本文:2025年4月~2025年9月のリスク

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋などを対象としてソーシャルリスニングを行い、今人々がどんなリスクに注目していたり不安を持っていたりするかを調査しています。以前は月ごとにまとめて報告していましたが、現在は半年に一度報告しています。方法については2020年3月の調査結果をご覧ください。Twitterの解析は2023年3月で終了しました。

2020年3月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果1~
人々の生の声をSNS等から収集するソーシャルリスニングとして、Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年3月の調査結果からは、このコロナウイルス蔓延のご時世に〇〇しても大丈夫か?という行動の可否の判断にとても高い情報ニーズがあることが浮かび上がってきました。

2025年4月~2025年9月の期間のリスクに関する最大のトピックは、参議院選挙での偽情報・誤情報の拡散とそれに伴う各党議席数の変化ではないでしょうか。ウソでもよいので心理的効果の高い怒りの感情を引き起こす情報を拡散させ、情報の物量で支持を得る作戦がある程度功を奏したとも言えます。また、ファクトチェックやデマの訂正情報はむしろデマを目にする機会を増やしたと考えられています。

参院選の偽情報、3人に1人が「事実と誤認」◆デマ拡散はテレビの訂正報道がきっかけ?#データの深層:時事ドットコム
7月の参院選では、膨大な数のSNS投稿や切り抜き動画が拡散し、その波に乗れたかどうかが各政党の獲得議席をも左右しました。ただ、そうした中には偽情報やデマなども多数あり、「35%の人が事実と誤認した」との調査結果も。なぜSNSが選挙に大きな影響を与えるようになったのか、偽情報はどう...

本記事では、定点調査として2025年4月~2025年9月にどんな「リスク」に焦点があてられたかを分析した結果を報告します。

Google Trends

Google トレンド

2025年4月~2025年9月の期間内で「リスク」とともにどんなキーワードが検索されているかを調べ、関連キーワードの注目度(検索数が増えたもの)トップ10を抜き出しました。ただし、今回の調査では5つしか出てきませんでした。

順位キーワードトピック
1我々はリスクよりワクワクをとる大人だ音楽
2王宮騎士のリスクヘッジゲーム
3ラーメン 死亡 リスク健康
4熱中症 リスク健康
5AI リスクAI

「我々はリスクよりワクワクをとる大人だ」というフレーズはコドモオトナヒーローという曲の歌詞のようです。ただ、日本語がおかしいなどとコメントがついてますね。「リスクを心配するよりも、、、」とか「安定よりも、、、」ならわかりますが、「リスクよりもワクワクを」というのは対比になっていません。

ラーメンのリスクについては、ニュースの収集でも出てきますが、山形大学の研究で「週3回以上のラーメンの摂取によって死亡リスクが1.52倍高い傾向がみられた」ということです。週3回もラーメンを食べる人は塩分が過多だったり、栄養バランスが偏っている可能性が高いということでしょうか。

「王宮騎士のリスクヘッジ」は成人向けゲームのようです。トレンドに入るほど人気があるのでしょうか?ほかには熱中症やAIのリスクに関心が集まっているようです。

YAHOO!知恵袋

Yahoo!知恵袋 - みんなの知恵共有サービス
Yahoo!知恵袋はみんなでつくる便利でうれしい知恵の共有サービス。参加している方がお互いに知恵や知識をQ&Aで共有できるサイトです。

2025年4月~2025年9月の期間内で「リスク」を含む質問のうち、閲覧数が多かったトップ10を抽出しました。

順位カテゴリトピック要約
1スマホアプリインターネットtemuの利用は危険か?
2画像、写真共有インターネット性的画像への加工サイトの利用は危険か?
3病気、症状医療コレステロール値が高いが、薬は副作用のリスクが怖くて飲みたくない。
4法律相談損害賠償電車内でモバイルバッテリーが発火した場合、誰が責任を負うのか?
5インターネットショッピングインターネットtemuやsheinの利用は危険か?
6株式投資証券会社を騙った詐欺メールの見分け方は?
7家族関係の悩み不倫セカンドパートナーが欲しいが性病が怖い
8病気、症状医療半月板損傷の際に手術をした方がよいか?
9デンタルケア医療歯列矯正で抜歯をするべきかどうか?
10ウイルス対策、セキュリティ対策パソコンPCウイルスの削除方法は?

Temu, Sheinなどの中国の通販サイト、nudefusion, Clothoffなどの性的画像生成サイトなどの安全性に関する質問が目立ちました。こういうところにクレジットカードを登録したりするのは危なそうですし、性的画像生成については日本の規制が追い付いていないようにみえます。

特定の医療行為を受けてもよいかどうかの相談も目立ちます。こういう場所での回答を真に受けるほうがよっぽどリスクがありそうですが。

モバイルバッテリーの発火は私も重要なリスクと認識しています。最近になって発火しにくい商品が出ているので、私も順次乗り換えたいと思っています。

ニュース

NewsAPIというツールを使って、タイトル中に「リスク」を含むニュースやブログをウオッチしています。NewsAPIについての説明は過去の調査結果をご覧ください。

2020年6月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果7~
Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年6月の調査結果からは、コロナ関連の話題は現減少を続け、人々の意識が経済優先に傾いていることがわかりました。各種の行動をとってもよいかどうかの判断基準については引き続き高い情報ニーズがありますが、対応する情報提供がないままです。

2025年4月~2025年9月の間にタイトル中に「リスク」を含むニュースを1031件収集しました。収集したタイトル中の単語頻度ランキングの月ごとの推移をまとめました。また、注目すべきワードは背景色をつけてみました。

news

コロナ禍が終わってからは「AI」関連が毎回高ランクになっています。今回の解析でも毎月「AI」がランクインしました(赤でマーキング)。

これまでに引き続いて、株式会社○○は△△のリスクを評価する「サービス」の「提供」を「開始」しました、的なニュースが結構目立っています(青色でマーキング)。このようなリスク診断サービスやリスク管理コンサルなどのサービスが流行っているようです。特に、今回は、Global info Research Co Ltdによる、市場予測から各業界の新規参入リスクを分析するという発信が多数ありました。

「経済」「投資」「企業」「株式」などの経済関連のワードもまとめて黄色でマーキングしました。これらのワードも毎月高ランクとなっています。

健康関連(オレンジでマーキング)では、がん、死亡などのワードが入っています。

緑色でマーキングしたのは海外関係ですが、その多くがトランプ大統領就任による関税の問題です。これまではウクライナやガザ紛争、中国関係が目立っていましたが、トランプ就任から一気にトレンドの流れが変わってきました。

生成AIによるニュースのまとめ

ここまで、収集したニュースのタイトル中の単語出現頻度に基づいた分析を行ってきました。ここからは生成AIを用いた分析をやってみます。これは今回が初の試みになります。

使用するAIはGoogleの「NotebookLM」です。これは自分で提供する情報に基づいて回答を作成してくれるため、間違った情報を生成するハルシネーションのリスクがありません。今回のような分析には最適です。回答も、どの部分の情報に基づくのかを示してくれるため、回答が本当かどうかを検証することも簡単です。

Google NotebookLM | AI Research Tool & Thinking Partner
Meet NotebookLM, the AI research tool and thinking partner that can analyze your sources, turn complexity into clarity and transform your co...

まずは収集したニュースの情報を学習させます。そうすると、音声や動画による解説を作れたり、マインドマップなども作れます。マインドマップを使うと以下のようにニュースを分類してくれて、それぞれの分類別に解説を作ってくれます。

mind-map

音声解説も非常に秀逸です。以下を聞いてみてください。まとめのうまさと自然な日本語の発音にびっくりしますね。

次に、AI関連のニュースをまとめさせると以下のようになりました。生成AIによるデマが選挙に干渉するリスクも取り上げられています。

1.機密情報漏洩と技術的脆弱性
・シャドーAIと意識の不足: 企業内では、従業員がIT部門の許可なく生成AIサービスを利用する「シャドーAIリスク」が急増しており、これが機密情報漏洩の大きな懸念となっています。
・LLM応答とデータ推測: LLM(大規模言語モデル)の応答から、学習に使用されたパーソナルデータや定型データの内容が推測・漏洩するリスクが存在します。
・新たなサイバー攻撃経路: 生成AIアプリケーションの外部システム接続に関連する「Model Context Protocol」の脆弱性や、AIに悪意のある指示を与える「プロンプトインジェクション」など、新しい攻撃手法とそのセキュリティリスクが注目されています。

2.社会的干渉とガバナンスの課題
・選挙干渉と偽情報: AI技術の発達により、外国勢力がインターネット上の偽情報(フェイク情報)などを通じて選挙や世論形成に干渉するリスクが深刻化しています。
・倫理と過信のリスク: AIが生成する誤情報はプライバシー侵害などの倫理的な悪夢を複雑化させています。また、経営においては、AIを意思決定に導入することで、判断の過信によるリスクが生じる可能性も指摘されています。
・法規制と対策の導入: これらの広範なリスクに対応するため、AIの研究開発と活用を推進するための新たな法律が成立しました 。企業や保険業界では、AI自体を詐欺検知や契約・リスク評価に活用し、リスク管理体制の強化を図る動きが加速しています。

次に健康リスク関連のニュースをまとめさせると以下のようになりました。ラーメンの話も取り上げられてますね。

・認知症リスクについては、孤独感や会話不足が脳の老化を進行させる要因として重要視されています。一方、帯状疱疹ワクチンの接種が認知症リスクを低下させる可能性が示されています。
・生活習慣と疾患リスクでは、食生活に関する知見が多くあります。加工肉の習慣的な摂取は、少量でも癌や2型糖尿病、心臓病のリスク増大につながると警鐘が鳴らされています。また、超加工食品の添加物をまとめて摂取することで2型糖尿病のリスクが増大する可能性や、ラーメンの過剰摂取(週3回以上)が死亡リスクを高める可能性が指摘されています。さらに、フライドポテトは最も糖尿病リスクを上昇させる調理法の一つです。
・生活習慣病の予防策として、日常的な運動が重要です。1日7000歩のウォーキングで認知症や死亡のリスクが半減するほか、運動の習慣はうつ病や不安障害、睡眠障害のリスクを低くします。また、睡眠の質は認知症予防に欠かせません。
・環境・その他のリスクとして、夏場の熱中症に対する注意喚起や、井戸水のPFAS汚染、無資格医療行為による放射線ダメージのリスクなどが報告されています。子どもの健康に関しては、13歳未満のスマートフォン所持が成人早期のメンタルヘルス悪化リスクに関連することが判明しています。

こんな感じでうまいことまとめてくれます。今後も生成AIの活用方法を探っていく計画です。

まとめ:2025年4月~2025年9月のリスク

2025年度上半期(4~9月)の「リスク」のトレンドを解析した結果、トランプ大統領就任による関税措置の問題が今期まで引きずっており、さらにAI関連は引き続き大きなトレンドとなっていることがわかりました。トレンドの整理には生成AIの活用が期待されます。

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