永井孝志

リスク比較

大麻は酒やたばこよりも安全か?リスク比較によって検証する

大麻の死亡リスクを推定したところ「10万人あたりの年間死者数1人」となり、酒「同15.9人」やたばこ「同59.9人」と比較してかなり低いものでしたが、絶対値として無視できるほど低いというわけでもありませんでした。死亡に至らない精神疾患なども考慮したDALYで比較しても、酒やたばことのリスクの差が埋まりませんでした。
SNS定点観測

2020年8月の「リスク」を分析しました~SNS定点観測結果11~

Google検索履歴やTwitter、YAHOO!知恵袋を用いて「リスク」のトレンドを定点調査しています。2020年8月の調査結果からは、特にGOTOトラベルキャンペーンにより旅行に行っても大丈夫かどうかの判断に悩んでいる人が多いようです。ツイッターではコロナに関して明らかに気の緩みが見られ、ニュースで高い警戒がなされている状況と大きく異なっています。
基準値問題

台風の基準は「小枝が折れ、風に向かうと歩けない」―typhoonやハリケーンとの違いは何か?

台風の基準はビューフォート風力階級という風力の12段階の尺度の8(小枝が折れ、風に向かうと歩けない。)以上となっています。これに相当する風速が17.2m/sなので中途半端な数字になっているわけです。また、typhoon、ハリケーン、サイクロンは日本の強い台風、つまり風力階級12以上に相当し、地域によって呼び名が変わります。
基準値問題

過労死ラインの基準値のからくり:労働時間ではなく睡眠時間から決まった基準値

過労死ラインと呼ばれる労災の認定基準について、一か月の時間外労働45, 80, 100時間という基準値があります。睡眠時間の不足(一日6時間未満)が健康に影響をもたらすという科学的知見から、月に100時間残業すると5時間の睡眠しかとれず、80時間では6時間の睡眠、45時間では最も健康的とされる7-8時間の睡眠をとることができるという計算が根拠となりました。
リスクガバナンス

コロナに感染したのは自己責任だから謝罪して当然か?自己責任と差別・誹謗中傷の関係

安倍首相が病気を理由に辞任を表明しましたが、病気を揶揄する声も上がっており、これの「病気になるのは自己責任」という考え方はコロナウイルス感染者への差別や誹謗中傷と根本が同じです。感染対策をとっているかどうかも集団としての感染確率が高いか低いかの問題でしかなく、感染したという結果を個人の責任に帰するべきではないでしょう。
SNS定点観測

2020年7月の「リスクコミュニケーション」を分析してわかったこと~SNS定点観測結果10~

リスクコミュニケーションに関するツイートを解析しています。リスコミ関するツイート数はコロナ感染が拡大した7月においても減少傾向が続きました。内容としては、コロナ専門家会議から指摘を受けた政府主導のリスコミが見えてこないこと、感染者差別の懸念が増えていることなどがありました。
身近なリスク

「化学物質による水域汚染→水道の断水→熱中症」の連鎖は起こりうるのか?化学物質と熱中症のリスクを比較する

2012年に発生した水道水中ホルムアルデヒド基準値超過による大規模断水事故の事例を紹介します。幸いにして「化学物質による水域汚染->水道の断水->熱中症」の連鎖は起こりませんでしたが、真夏にこの事故が起こった場合は熱中症のリスクが化学物質によるリスクを上回ることが懸念されます。
身近なリスク

ほかのリスクが熱中症のリスクを増大させる?マルチリスクの視点から必要な対策とは何か

熱中症は高齢者による自宅での発生が多いため、エアコンの故障や停電は熱中症のリスクを上げる致命的な要因となります。市民レベルでできることとして、エアコンは10年以上経過したら故障する前に交換、台風の予報をみてから事前に停電時の準備をしておく、ことがポイントでしょう。
身近なリスク

熱中症とコロナウイルスのどちらに気を付ければよいのか?熱中症の死亡リスクを比較する

熱中症の死亡リスクは10万人あたりの年間死者数1.3人ですが、年代ごとの差が非常に大きく、高齢者のリスクが高くなっています。また、マスクや換気などコロナウイルス対策とのトレードオフ関係をみるために、コロナと熱中症のリスクを年代別に比較したところ、高齢者は一般的にはコロナよりも熱中症対策を優先すべきと考えられます。
身近なリスク

夏になると頻発する海水浴での死亡事故:水難のリスクを計算して危険度を比較する

統計情報を活用して海水浴や釣りの死亡リスクを計算しました。海水浴(10万人あたりの年間死亡者数1.3人)よりも釣り(10万人あたりの年間死亡者数は3.5人)のほうが2倍以上リスクが高い結果になりました。海水浴は子供のほうが高リスクというわけではなく、一方で釣りは高齢者が高リスクでした。