農業

リスクマネジメント

どうして生物屋と農業者のすれ違いは繰り返されるのか?

生物屋は理想的な保全の姿を農業者に求め、農業者は現場での実行可能性を重視するというすれ違いがSNSなどで繰り返し目立ちます。どうしてすれ違いが繰り返されるのかについて、保全目標の重要性や専門家の活用の可能性の観点などからまとめます。
リスクガバナンス

制度は立派な欧州とリスクは低いニッポンその2:農薬編

農林水産省の補助金を受ける場合に環境負荷低減の取組が義務化されます(クロスコンプライアンス制度)。欧州では2005年から義務化されており日本は制度的に遅れています。一方で実際のリスクの比較として残留農薬基準の超過率を日欧で比べてみると興味深い関係が明らかになります。
リスクガバナンス

農薬の規制強化と有機農業の推進から考える規制行政と推進行政の違い

農薬の規制と有機農業の推進はセットで語られることが多いのですが、この二つは似ているように見えてまったく違います。規制は経済への介入となるため慎重さ・科学的根拠・国際調和が求められ、推進はそれよりもお気持ちが通りやすく暴走しやすいという特徴があります。
リスク比較

自殺のリスク評価その2:農家の自殺リスクは高いのか?

農家の自殺リスクは高いのか?の検証として、業種別自殺リスクとそれらの経年変化をまとめました。農業は就業者総数に比較して自殺リスクが高いのですがその解釈は単純ではなく、農業という業種の影響、自営業であることの影響、就業者総数の自殺リスクの過小評価など、考慮すべき点が複数あります。
リスク比較

農家はうつ病になりやすいのか?農薬がうつ病の原因なのか?を検証します

農家はうつ病になりやすいのか?を検証するため、米国の質の高い疫学調査における農薬使用とうつ病との関係を調べた結果を紹介し、さらに日本の職業別悩み・ストレス・心の状態のデータから農家のストレス度を比較します。いずれも結果の解釈が難しく注意が必要なことがわかりました。
リスクガバナンス

規制制度が立派な欧州と規制は緩いがリスクは低いニッポン

さまざまな分野で「日本も欧米を見習ってもっと強い規制を!」などの話をよく耳にしますが、日本は独自のお願い事ベースの緩い管理が成功してきた実績があります。コロナ対策、性犯罪の履歴確認、農作業安全の3つの事例を取り上げて、規制制度の比較と実際のリスクの大きさを比較すると面白い傾向が見えてきました。
その他

AI農業のリスク―新しい技術には新しいリスクがある

AI農業のリスクとして、(1)ハッキングなどのセキュリティのリスク、(2)環境破壊のリスク、(3)大企業によるデータ独占のリスクが挙げられていますが、誤同定による被害、機器類の事故、ディープフェイクやAIボットによる社会の混乱のほうがよりリアルなAI農業のリスクとなりえます。
リスク比較

「農家は長寿命」説の検証その2:心理的要因や認知症との関係

農家は長寿命説の文献を批判的に検証した記事に対するコメントへの返答として、職業別の平均余命、なぜ「農家は長寿命」説を信じ込みやすいかの心理学要因、農家は認知症予防に効果があるのか、などを整理しました。結果として、農業が寿命や認知症に与える影響は明確ではありませんでした。
リスク比較

「農家は長寿命」はファクトか都市伝説か?を検証します

「農家は長寿命」というSNSなど(県の政策文書にも!)でまことしやかに語られる説を検証します。(1)農業者の医療費は非農業者よりも低い、(2)農業者の死亡時平均年齢は非農業者よりも高い、(3)農家の割合が多くなると死亡率を下げる、という根拠が示されていますが、適切な解釈のためにはさまざまなバイアスを取り除く必要があります。
リスクマネジメント

衣食足りて礼節を知る?~農業×SDGsの波は順番が逆~

「衣食足りて礼節を知る」すなわち、SDGsにおいてもまずは食うに困らない安定した生活基盤があって初めて環境保全などのプラスαの取り組みがうまくいきます。農業においても、大規模農家のほうが環境保全に取り組む余裕が出てくるため結果的に取り組みが進んでいます。