要約
2025年の人口動態統計による死因別死者数や死因別超過死亡のデータを分析しました。新型コロナウイルスによる死亡率は減少し、一方でインフルエンザの死亡率が増加する傾向が続いています。年代別では、10代で死亡率が上昇する傾向があり、さらに男女差が縮む傾向が進みました。
本文:2024~2025年にかけての日本の死亡リスクのトレンド
本ブログではこれまでに2020年から毎年、日本における日本の死亡リスクのトレンドについてまとめた記事をそれぞれ書いています。今回は同様に、2024年と2025年でどのように変化したかに注目してみます。昨年度の記事は以下です。

まずはおなじみの人口動態統計から死因別死亡率を整理し、次に超過死亡について整理します。最後に、年齢別死亡率の経年推移と、新型コロナウイルス関連の死亡率の経年推移を示します。
死因別死亡率
使用するデータはおなじみの人口動態統計です。死因別死亡数は以下のページの第6表にあります。
厚生労働省:令和7(2025)年人口動態統計月報年計(概数)の概況
これは死因の中でも簡単分類別というものですが、それでも100種類以上の死因が出てきます。
死因をすべて並べるとごちゃごちゃするので、例年と同様に26種類をピックアップして死亡リスク(人口10万人あたりの年間死者数)をグラフに表します。熱中症はこの死因分類では「その他の不慮の事故」に含まれますが、ここでは特出ししています。比較のために2024年の死亡リスクも同時に掲載します。死亡リスクの高いものから低いものまで一つのグラフに載せるため、軸は対数にします。

2024年度との差が最も大きいのはインフルエンザであることがわかります。本記事の後のほうでインフルエンザの死亡率の経年推移を示しますが、2022年~2025年にかけて徐々に死亡率が増加しています。
また、2024年に比べて死者数の減少率が10%以上であった死因(年間100人以上の死者がいる死因に限定)は
・ウイルス性肝炎(14%減少)
・慢性リウマチ性心疾患(14%減少)
・周産期に発生した病態(13%減少)
・新型コロナウイルス感染症(40%減少)
・熱中症(26%減少)
の5つでした。
逆に死者数が10%以上増加したのは
・インフルエンザ(139%増加)
・急性気管支炎(11%増加)
・その他の循環器系の先天奇形(13%増加)
の3つでした。
超過死亡ダッシュボード
上記の統計上の数字とは別に、超過死亡数(平年から予想される死者数を上回る死者の数)も見ていきましょう。超過死亡を見るには「日本の超過および過少死亡数ダッシュボード」というサイトが非常に便利です。都道府県別に期間を限定して、超過死亡数の週ごとの推移を知ことができます。いくつかの死因については死因別のデータもあります。

まずは2020年1月~2025年11月にかけての週ごとの超過死亡(すべての死因)を見てみましょう。

赤の点線が平年から予想される死亡数で、その上下に「このくらいの変動は想定内」というラインが引かれています。青の縦棒グラフが実際の死亡数です。赤の点線よりも下回ると平年よりも少なく、さらにその下のラインを下回ると「統計的有意に」低い(マイナスマークが付される)という意味になります。上側についても同様で、緑のラインを上回ると「統計的有意に」高い(プラスマークが付される)という意味になります。
2020年は平年よりも低く推移しましたが、2021年~2023年頭まではコロナの感染ピークに合わせてプラスマークが目立ちます。その後は平年レベルに戻り、2024年になるとマイナスマークが目立つようになりました。2025年初頭にはプラスマークが出てきましたが、これはインフルエンザの流行によるものと考えられます。その後は2024年よりもさらにマイナスマークがたくさん付くようになりました。
次に死因別の超過死亡として、呼吸器系疾患と循環器疾患の推移も掲載します。


呼吸器系疾患(インフルエンザを含む)は2025年初頭に大きなプラスのピークが出ています。これが全体の超過死亡を押し上げたことがわかります。循環器疾患のほうも2025年初頭に少しプラスマークが付いていますが、呼吸器系疾患ほどではありませんでした。
がんについても以下に示します。冬に多いなどの季節性は明確ではないため、全体の死亡率の増減とあまり関係がないように見えます。全体的には2023年以降はマイナスマークが目立つようになります。

老衰については高齢化により死者数がどんどん増えており、毎年冬に増加する傾向があります。2011~2022年はコロナの感染ピークと同時に超過死亡が増えましたが、その後2023年以降はコロナの終息とともにマイナスマークが目立つようになりました。医療のひっ迫状況との関係が示唆されます。

最後に自殺についても以下に示します。2020年後半から2021年前半まではプラスマークが多く、景気悪化や雇用悪化、家庭環境の悪化、有名人の自殺などの影響が見られました。2023年以降は有名人の自殺の大きなニュースもなく、超過死亡が目立たなくなり、特に2025年はマイナスマークが増えています。

年代別の死亡率とコロナ関連死亡率の経年変化
最後に死亡率の経年変化のトピックとして、年代別・男女別死亡率の経年変化を見ていきましょう。

全体的に死亡率が経年的に減少し続けてきたのと同時に、男女差についてもすべての年代で徐々に縮まっているのがわかります。男のほうが死にやすいというのはもう過去の話になってきたように思います。
(10代後半の男はやんちゃ度が下がってきたことを表しているのでしょうか?)
まず0-4歳については近年ほぼ横ばいになっていますが、10代前半では男女ともに近年で上昇傾向がみられるようになりました。10代後半では女性のみが上昇傾向になっており、女性の自殺率の上昇が原因となっています。それよりも上の年代になると40代後半の事例のように男女ともに減少傾向がゆるやかに続くようになります。
最後にコロナ関連死者数の経年推移をまとめてみます。コロナとインフルエンザ、さらに2023年度から新たに加わった死因である「新型コロナウイルス感染症ワクチン」も一緒に並べてみましょう。

コロナによる死者数は2022年にピーク(約48000人)となり、その後は減少傾向にあります。反対にインフルエンザは2021年と2022年はほとんど死者数が出ませんでしたが、その後は増加傾向になっています。2025年はここ10年くらいで最も多い死者が出ています。ただし、それでもまだコロナよりは少ないです。この傾向(コロナは減り、インフルは増える)は今後も続いていくと考えられます。
コロナワクチンが原因で亡くなったと医師が判断した事例はこの3年間で48人でしたが、グラフにすると見えないレベルです。
まとめ:2024~2025年にかけての日本の死亡リスクのトレンド
2025年の人口動態統計の死因別死者数によると、新型コロナウイルスによる死亡率は減少し、一方でインフルエンザの死亡率は大きく増加しました。呼吸器疾患の超過死亡が増加したこととも関連しています。そしてこの傾向は2023年から継続しています。年代別では、10代で死亡率が上昇する傾向があり、さらに男女差が縮む傾向が進みました。

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