永井孝志

リスクガバナンス

規制制度が立派な欧州と規制は緩いがリスクは低いニッポン

さまざまな分野で「日本も欧米を見習ってもっと強い規制を!」などの話をよく耳にしますが、日本は独自のお願い事ベースの緩い管理が成功してきた実績があります。コロナ対策、性犯罪の履歴確認、農作業安全の3つの事例を取り上げて、規制制度の比較と実際のリスクの大きさを比較すると面白い傾向が見えてきました。
身近なリスク

何者かにならなければいけないというリスク

インフルエンサーのSNSを見て「何者かにならなければいけない」という焦りが過剰になると、オンラインサロンや情報商材への過剰な課金、嘘で固めたSNS運営、炎上系YouTuberになる、陰謀論にドはまりする、などのリスクがあるため、若者向けには「焦って何者かになろうとしなくてよい」というメッセージが必要になります。
リスクガバナンス

ALARAの原則は単なるスローガンではない:韓国による水産物禁輸措置に対するWTO訴訟でなぜ日本は負けたのか?

原発処理水の海洋放出により、中国は日本の水産物を禁輸としました。今後の対応の参考として、WTOとSPS協定について解説し、2019年に日本が韓国に敗訴した理由についておさらいます。争点の一つとなったALARAの原則についてどう向き合えばよいかに注目して解説します。
基準値問題

排水基準と環境基準の関係:原発処理水と事業所排水の考え方の違いに注目

排水基準と環境基準の関係について、原発処理水と事業所排水ではその考え方に大きな違いがあります。原発処理水の排水基準は飲んでも問題なレベルとしてトリチウム1500Bq/Lが設定されていますが、事業所排水では飲めるレベルにまで処理する必要はなく、放出された環境中で希釈された後に飲めるレベルになっていることが求められます。
化学物質

有機フッ素化合物PFASのリスクその4:PFASのリスク評価と母乳育児の悩ましい関係

PFAS問題の解説その4として、20種類のPFASのリスク評価の事例を紹介します。乳児のPFAS摂取量は母乳を飲んだ量でほぼ決まってしまいますが、母乳は感染症のリスクを下げる効果があるのに「PFASでワクチン抗体価が下がる!危険だ!」というリスク評価には大きな疑問が残りました。
化学物質

有機フッ素化合物PFASのリスクその3:PFASがなくなると我々の生活はどう変わるか?

PFAS問題の解説その3として、PFASがなくなると我々の生活はどう変わるかについてまとめます。PFAS使用禁止によって使用エネルギーは増大し(温暖化対策は後退し)、モノ全体の寿命は縮み、安全性が損なわれます。また、PFAS代替物質のリスクがPFASのリスクを上回るリスクトレードオフも懸念されます。
化学物質

有機フッ素化合物PFASのリスクその2:フッ素樹脂が巻き添えで欧州のPFAS規制対象になった

PFAS問題の解説として、PFOS・PFOAからPFASへ世間の注目が変化したことをGoogle trendsを用いて示します。次に、PFASとは何か?についてリスクの観点から大きく3つに分けて解説します。そして欧州で進んでいるリスク評価を伴わないPFAS一律禁止措置の動向について紹介します。
基準値問題

有機フッ素化合物PFASのリスクその1:米国のPFOS・PFOAの規制強化の根拠は免疫力の低下

世界的な規制強化の流れにある有機フッ素化合物PFASについて複数回にわたり解説します。その1では、PFOS・PFOAの米国の飲料水新基準値案に焦点をあてて解説します。有害性評価ではワクチン抗体価の減少というあまり見なれないエンドポイントを採用しています。
身近なリスク

熱中症対策と塩分摂取の関係その2:熱中症と塩分摂取のリスク比較

熱中症予防に塩分摂取という情報が広がっている中、熱中症のリスクと塩分の過剰摂取のリスクを比較するとどうなのかを解説します。それに加えて、塩の過剰摂取に関する最近の話題や、減塩の効果とそのための面白い技術なども併せて紹介します。
リスク比較

コロナ禍の2021年から2022年にかけて日本の死亡リスクのトレンドはどのような変化をしたか?

2022年の人口動態統計による死因別死者数や死因別超過死亡のデータを分析しました。他殺や結核・ウイルス性肝炎は減少、一方でコロナ・不慮の事故、老衰、循環器系疾患の増加が目立ちました。年代別では10代後半の女性と100歳以上の死亡率の増加が特徴的となりました。