• 研究内容や成果の紹介
    Chytriomyces

    Nagai T (2020) Sensitivity differences among five species of aquatic fungi and fungus-like organisms for seven fungicides with various modes of action. Journal of Pesticide Science, in press
    https://doi.org/10.1584/jpestics.D20-035

    新規論文公開のお知らせです。

    この研究では種間の感受性差を把握するために、7種類の殺菌剤を対象に5種類の水生菌類を用いた毒性試験を行いました(全部で35試験)。効率的に試験をするためにマイクロプレートアッセイ法を使用しました。この試験法の開発についてはすでに以前に論文になっています。
    https://doi.org/10.1002/etc.4138

    5種類の水生菌類の中でどの種が最も感受性の高いかは殺菌剤によって異なっていました:ツボカビRhizophydiumはヒドロキシイソキサゾールとイソプロチオランとフェリムゾンに対して最も感受性が高く、ツボカビChytriomycesはトリシクラゾールに対して最も感受性が高く、担子菌酵母Sporobolomycesはイプコナゾールに対して最も感受性が高く、卵菌類のAphanomycesはオリサストロビンとカスガマイシンに対して最も感受性が高い。

    この結果は単独の標準種に水生菌類の感受性を代表させることはできないということを明示しています。5種類を一度に試験できるので、結果をすぐに種の感受性分布解析に適用できます。

    また、水生菌類に対する毒性を他の水生生物種(一次生産者、無脊椎動物、脊椎動物)と比べたところ、ヒドロキシイソキサゾール、カスガマイシン、イソプロチオラン、イプコナゾール、フェリムゾンについては水生菌類のほうが毒性が高いという結果が得らえました。つまり、水生菌類の毒性データ抜きには殺菌剤の生態影響は過小評価されることを示唆しています。

    写真はツボカビChytriomyces hyalinusです。遊走子嚢と呼ばれる丸いツボ状のものに仮根と呼ばれる細い菌糸が生えているのが見えます。ツボカビといえばカエルツボカビがあまりに有名になってしまいましたが、水域なら通常どこにでもいる水生菌類です。寄生性のものもそうでないものも両方います。