• 研究内容や成果の紹介
    Yamaguchi-river

    永井孝志 (2020) 天然付着珪藻群集に対する除草剤の影響と生物指標の適用可能性. 環境毒性学会誌, 23(2), 52-62
    https://doi.org/10.1584/jpestics.D19-039

    新規論文公開のお知らせです。

    この研究では、野外環境から採取した天然付着珪藻群集に対して、実験室内での除草剤の曝露試験(マイクロコズム試験)を行いました。その結果を用いて、珪藻種間の感受性差や、珪藻を用いた生物指標の適用可能性の検討を行いました。

    除草剤はその作用機作によって種間の感受性差に特徴的な違いがあることがすでにわかっています。そのため、様々な作用機作をもつ7種類の除草剤を用いて曝露試験を行いました。また、解析対象とした珪藻はコントロール区で優占する5属の珪藻(Fragilaria、Achnanthidium、Navicula、Planothidium、Nitzschia)にしました。

    7種の除草剤によって珪藻間の感受性の順序は大きな差がなく、おおむねFragilaria≒Achnanthidium>Navicula≒Planothidium>Nitzschiaの順で感受性が高いという結果が得られました。珪藻間での感受性の種間差が作用機作に依存しないという結果は、除草剤に弱い種と強い種に単純に分類ができる可能性を示唆しています。

    種組成に関してはさらに属数やShannonの多様度指数、PTI、DAIpo、SPEAR等の各種生物指標を計算しました。このうちSPEARherbicides(除草剤に弱い種と強い種への分類をベースとする)は除草剤の影響指標として作られた唯一の生物指標です。このSPEARherbicidesはそのままでは影響の検出力が弱かったのですが、本研究のデータに基づいて改変したSPEARherbicidesを用いてみました。すると、除草剤の曝露区はコントロール区と比べて大幅に低い値となり、適用できる可能性が示唆されました。

    写真は天然付着珪藻群集を採取した筑波山麓の山口川です。上流には人為的汚染源はほぼなく、除草剤への耐性がついていない珪藻群種を採取することができます。近隣には水くみ場があり、ペットボトルに水を汲んでいく人が頻繁に訪れる場所です。